トピッククラスターでサイト構造を改善する方法!SEO効果と導入方法も解説
2022.12.09
効率的なSEO対策として注目されているトピッククラスター。中には導入を検討されている方も多いのではないでしょうか。とはいえ、効果の程度や導入の難易度などを知らずに挑戦するのは考え物です。そこで今回は、トピッククラスターの特徴・効果とメリット・作り方の手順などまとめてみました。
トピッククラスターとは?
トピッククラスターとは、ランダムに増え続けるコンテンツによって乱雑になりがちなWebサイトのインフラ構造を、一定の条件でグルーピングすることで改善を図る整理方法の一種です。
2種類の要素で構成された「親子構造」になっており、それぞれがハイパーリンク(内部リンク)で連結されています。
構成要素
- ピラーページ(親記事):メイントピック
- クラスターページ(子記事):サブトピック
つまり、不規則に存在している記事を有機的にまとめることで、ユーザー・Google検索エンジン・サイト運営者の三者にメリットを与え、結果的にコンテンツ群のSEO評価がアップする仕組みになっているのです。
SEO評価アップが狙える理由
- ユーザー:探している情報が見つけやすくなる
- 検索エンジン:サイト内構造が読み解きやすくなる
- サイト運営者:キーワード戦略が立てやすくなる
インバウンドマーケティングやCRM機能ツールなどを提供しているグローバル企業、HubSpot社にてSEOエキスパートと顧客獲得ディレクターを兼任しているマシュー・バービー氏(Matthew Barby)が2017年頃にトピッククラスターモデを提唱して以降、より効率的なSEO手法として多くのWebサイトで導入が進んでいます。
ピラーページとは?
ピラーページ(ピラーコンテンツ)とは、「まとめ記事」や「一覧ページ」のようにメイントピックを包括的に扱う「親記事」を指しています。
上記画像の通り、トピッククラスターの「中核にあたる記事」と言った方がイメージしやすいかもしれません。
個別の解説ページへと誘導する役目を担っているため、ほとんどの場合は「ビッグキーワード」または「ミドルキーワード」を用いて作成されています。
クラスターページとは?
クラスターページ(クラスターコンテンツ)とは、メイントピックと関連性の高いサブトピックを扱う「子記事」を指しています。
メイントピックの補足情報や範囲を絞って深掘りした内容になっており、それぞれがピラーページと内部リンクで繋がっていなければなりません。
1本の樹木に例えるなら、ピラーページが「幹」にあたるのに対しクラスターページは「枝」にあたります。
ビッグキーワードに紐づく「ミドルキーワード」または「ロングテールキーワード」を扱うのが特徴です。
関連記事
従来版サイト構造の問題点
従来のサイト構造との最大の違いは、キーワードではなくトピック(共通するテーマ)をベースにしてクラスター(集団・群れ)を形成するという点です。
確かに、これまでもカテゴリ分けなどを通じてサイト構造を整理することは可能でしたが、キーワードに縛られる分、下記のような問題が生じやすくなっていました。
従来版サイト構造の問題点
- キーワードが共通しているため、関連性の低いグループ内の記事まで内部検索でヒットする
- 内容、記事構成、URLが酷似している重複コンテンツが発生しやすくなる
- 検索結果のページ(SERP)に類似記事が表示され、トラフィックの奪い合いになる
その点、トピッククラスターなら導入前の問題点をまとめて解決することができるのです。
トピッククラスターの効果とSEO的メリット
なぜトピッククラスターは新しいSEO対策のスタンダードとして認知されているのか、その理由として下記のようなメリットが挙げられます。
効果とSEO的メリット
- サイト構造が分かりやすくなる
- 情報を網羅的に提供できる分トラフィックの奪い合いを予防できる
- 1記事の評価が上がるとグループ全体の評価もアップする
- CVアップが狙いやすいロングテールキーワードと好相性
- ビッグキーワードやミドルキーワードでも上位化が可能
- 被リンク数・リンクジュース・ページランクが向上する
サイト構造が分かりやすくなる
トピッククラスターの最大のメリットは、サイト構造がシンプルに整理整頓されて分かりやすくなるという点です。
脇道が残っている下町の交通インフラを整備すると渋滞が解消されるように、場当たり的に繋げていた内部リンク網を計画的に組織化することで下記のような効果が得られます。
サイト構造を明確にするメリット
- ユーザー自身がピラーページの一覧表から見たい情報を選べるので、目的のクラスターページに最短距離でアクセスできる
- 検索エンジンが関連性の高い複数のコンテンツをグループとして認識してくれるので、クロール漏れが防げる
- 内部リンクが辿りやすくなり、インデックススピードが促進される
- サイト運営者にとって、「追加すべきコンテンツの選定」や「重複コンテンツの発見」に役立つ
情報を網羅的に提供できる分トラフィックの奪い合いを予防できる
ユーザーニーズを満たす情報を過不足なく網羅的に提供できるようになるのも、トピッククラスターモデルを導入する大きなメリットです。
情報を網羅的に提供するメリット
- ユーザーが抱えている疑問点を発見し、解決に至るまでに必要な情報を漏れなく提供できる
- 繰り返しサイトを閲覧してもらえるようになる
- 重複ページや類似コンテンツが減る分、トラフィックを奪い合うカニバリゼーションを予防できる
トピッククラスターモデルを導入しているサイトの多くが、ユーザーから「このサイトさえ見れば全ての疑問が解けそう!」「知りたい情報がすぐ見つかる!」といった高評価を得ているようです。
1記事の評価が上がるとグループ全体の評価もアップする
特定のキーワードに対し、SERPで上位表示される記事がグループ内に1つでもあると、同キーワードに対するトピッククラスター全体の評価も自動的にアップします。
なぜ、たった1記事の評価が全体に波及するのでしょうか。
その理由は、トピッククラスターを導入する前と後とでは、上位表示のされやすさを示す指標である「ドメインオーソリティ」によって受ける影響度が異なるからです。
ドメインオーソリティ(Domain Authority:DA)の違い
- 導入前:記事同士の関係性が不確かなので、コンテンツごとの評価が優先される
- 導入後:ピラーページ、クラスターページを問わずグループ内の全記事で共有される
特に、親記事にあたるピラーページが上位化に成功した場合は、それに紐づくクラスターページの順位も上がりやすくなります。
CVアップが狙いやすいロングテールキーワードと好相性
まとめ記事などのクラスターページは、単独で上位化が狙いやすいロングテールキーワードと好相性なのが強み。
ユーザーニーズが満たされるよう、十分な詳細情報や補足情報を盛り込むことで大幅なCV(コンバージョン)アップが見込めます。
たとえクラスターページ自体でCV獲得に繋がらなかったとしても、下記のプロセスを経てコンバージョンに特化したキラーページへ誘導することも可能です。
キラーページへ誘導するプロセル
- ロングテールキーワードと相性が良いトピッククラスターで上位化を狙う
- トピッククラスターに流入したユーザーを、まとめ記事などのピラーページへ誘導する
- ピラーページからCV率の高いキラーページへ誘導する
関連記事
ビッグキーワードやミドルキーワードでも上位化が可能
難易度が高いビッグキーワードやミドルキーワードでも上位化が狙えるのは、トピッククラスターならではのメリットです。
確かに、オフィシャルサイトまたは超大規模サイトならともかく、通常は下記のような理由からビッグキーワードやミドルキーワードを用いた単体記事でランキング上位を狙うのは非現実的と言われています。
ビッグキーワードやミドルキーワードの上位化が難しい理由
- 検索ボリュームが大きい分、競合サイトも多い
- 検索意図が多岐にわたるため、的が絞れない
- 想定される全ての検索意図を、ひとつの記事に盛り込むのが困難
ここで注目したいのが、トピッククラスターが持つ2つの強みです。
トピッククラスターの強み
- 1記事の評価がアップすると、同じトピックを扱っているグループ全体の評価も上がる
- クラスターページは、上位化の難易度が低いロングテールキーワードと相性がバツグン
つまり、ロングテールキーワードとの相性が良い「クラスターページ」さえ上位化できれば、自動的にビッグキーワードやミドルキーワードを用いる「ピラーページ」の検索順位まで向上する可能性が高いのです。
関連記事
被リンク数・リンクジュース・ページランクが向上する
トピッククラスターのメリットとして外せないのが、被リンク・リンクジュース・ページランクの全てが連鎖的に向上するという点です。
なぜ最終的にページランクアップまで期待できるのか、一連の流れについて見てみましょう。
ページランクがアップするまでのプロセス
- 内部リンクが充実する
- サイト自体の価値が高まり、優良な被リンク獲得につながる
- 被リンクが増えるほど、リンクジュースが向上する
- リンクジュースがサイト内に循環する
- 検索順位を決定付ける評価指標、すなわちページランクが向上する
ちなみに、リンクジュースとは被リンク(外部リンク)によってリンク元からリンク先へと渡される「SEOパワー」を指しており、向上させる方法として重要なのが「内部リンクの充実化」なのです。
リンクジュース具体的な活用方法については、下記の記事で詳しく解説しております。
関連記事
SEO対策として成功させるポイントと注意点
トピッククラスターの具体的な作成方法を解説する前に、SEO対策として成功させるために押さえておきたいポイントと注意点についてご説明します。
SEO効果を高めるポイントと注意点
- 必ずピラーコンテンツを先に考える
- クラスターコンテンツから高評価を狙う
必ずピラーコンテンツを先に考える
トピッククラスターを作成する時は、必ず「核」にあたるピラーコンテンツを先に考えるのが成功させる必須条件です。
確かに、通常のコンテンツを作成する場合は最初にキーワード選定を行うのが定石ですから、クラスターページから考えたくなるのも当然でしょう。
しかし、クラスターページから取り掛かるのは、タイトルで取り扱うトピックを決めずに見出しなどの構成案をつくるようなモノ。
起点となるピラーページが定まっていなければトピッククラスター全体の方向性がブレ、コンテンツ同士の関連性が希薄になってしまうのです。
クラスターコンテンツから高評価を狙う
まずは、上位化の難易度が低いロングテールキーワードを使ったクラスターコンテンツから高評価を狙いましょう。
あえて難易度が高いビックキーワードを使ったピラーコンテンツから高評価を狙うのは、現実的とは言えません。
ちなみに、クラスターページの中で最も力を入れるべきなのは、コンバージョン獲得に適したキラーページです。
トピッククラスターの作り方と手順
トピッククラスターは下記の5ステップで作成するのが一般的です。
作り方と手順
- 下準備として既存記事を分類する
- トピックを決定する
- ピラーページの対策キーワードを選定する
- クラスターページの対策キーワードを選定する
- 内部リンクの設計
下準備として既存記事を分類する
すでに運営中のWebサイトは、まず下準備として既存記事の分類を行いましょう。
この段階では全ての既存記事をクラスターページとして位置づけたうえで、ザックリとしたジャンルごとに整理するのがコツ。
ピラーページとして扱うメイントピックの決定と該当する既存記事の選定は、ステップ2で行います。
一方、既存記事が0件の場合は、こちらのステップ1を省略してステップ2から始めて下さい。
関連記事
トピックを決定する
ステップ2では、トピックを決定する作業を行います。
トピッククラスターにおける「トピック」とは、コンテンツ作成に必須のキーワード選定とは別物です。
少し大きめのテーマと言った方がイメージしやすいかもしれません。
トピックの一例
- 40代の転職活動
- SEO対策の勉強方法
- テレワークに適した家づくり
- 初心者向けの副業
裾野が広がる余地を持った中規模テーマを選ぶと、クラスターページが作りやすくなります。
ピラーページの対策キーワードを選定する
ステップ3では、ピラーページで扱うビッグキーワードまたはミドルキーワードを選定します。
選定条件
- トピッククラスターのトピックと関連性が深い
- 最終的に上位表示を目指したいキーワード
- 1語または2語程度が理想的
上記の条件を踏まえたうえで前述したトピック例に当てはめると、下記のようになります。
トピック |
ビッグキーワード・ミドルキーワード |
40代の転職活動 |
40代 転職 |
SEO対策の勉強方法 |
SEO対策 勉強方法 |
テレワークに適した家づくり |
テレワーク 家づくり |
初心者向けの副業 |
初心者 副業 |
なお、ペコプラでは無料のサジェスト・関連キーワード取得ツールを提供していますので、ぜひお役立てください。
関連記事
クラスターページの対策キーワードを選定する
ステップ4は、クラスターページで扱うロングテールキーワードの選定です。
選定条件
- ピラーページのキーワードを掘り下げたもの
- 3~4語を組み合わせる
- 各クラスターページでキーワードを重複させない
上記の条件を踏まえたうえで前述したピラーページのキーワード例に当てはめると、下記の組み合わせが有力候補となります。
ピラーページの対策キーワード |
クラスターページの対策キーワード |
40代 転職 |
40代 転職 面接 |
SEO対策 勉強方法 |
SEO対策 勉強方法 独学 |
テレワーク 家づくり |
テレワーク 家づくり コツ |
初心者 副業 |
初心者 副業 おすすめ |
関連記事
内部リンクの設計
最後の工程は、トピッククラスターのSEO効果を左右する内部リンクの設計です。
内部リンク設計のポイント
- すべてのクラスターページにピラーページの内部リンクを設置する
- ピラーページから全クラスターページに向けて内部リンクを設置する
- クラスターページ同士の内部リンクは、関連性の高いコンテンツ間のみ設置する
ピラーページとクラスターページの内部リンクは一方通行ではなく、必ず相互リンクにするのが定石です。
片方からしかリンクが張られていないと、トピッククラスターの利点が半減してしまいます。
ちなみに、クラスターページ間の内部リンクが多すぎるとピラーページにこそ集めるべきリンクジュースの効果が分散するため、本来の真価が発揮できません。
「収益の導線として外せないキラーページ」または「関連性が高くユーザーにとって有益」という条件に当てはまるコンテンツを厳選したうえで、クラスターページ間の内部リンクを設定しましょう。
関連記事
内部リンクの注意点
トピッククラスターに内部リンクを設置する際は、いくつかの注意点があります。
ユーザーと検索エンジンの双方に関連性が正しく伝わるよう、下記の項目を全て満たしましょう。
クラスターページからピラーページへ設置する内部リンクの注意点
- 最も理想的なのはテキストリンク
- テキストリンクは、できるだけ冒頭に入れる
- アンカーテキストには、ピラーページの対策キーワードを入れる
一方、クラスターページ同士で内部リンクを設置する際は、クラスターページからピラーページへのリンクよりも下部に入れるのが一般的です。
関連記事
トピッククラスターのよくある質問
ここからは、トピッククラスターに関してお問い合わせが多かった疑問点についてご紹介します。
よくある質問
- 別グループのクラスターページとのリンクはNG?
- サイドバーやフッターに関連性のないリンクを設置するのはNG?
別グループのクラスターページとのリンクはNG?
結論から言うと、異なるトピッククラスター間の内部リンクは避けた方が安全です。
不要な発リンクはGoogleから低評価を受ける要因となるため、内部リンクはあくまでトピッククラスター内に留めておきましょう。
むしろ関連性の低いコンテンツ同士は、手間をかけてでもリンクを削除すべきなのです。
サイドバーやフッターに関連性のないリンクを設置するのはNG?
どのページでも定型として表示されるサイドバーやフッターの場合、たとえ本文と全く関連性がないリンクが設置されていても支障はありません。
なぜなら、SEOの観点から見て「body内部」と「body外部」とでは、リンクそのものの価値が全く異なっているからです。
リンク価値の違い
- body内部のリンク(本文):価値が高い
- body外部のリンク(サイドバーやフッター):価値が低い
つまり、内部リンク構造を意識すべきなのは価値が高い「本文内のリンク」なのです。
関連記事
まとめ
トピッククラスターは、従来のサイト構造が抱えていた問題点を解決してくれる画期的なSEO対策として注目されています。
最大の特徴は、ユーザー・検索エンジン・サイト運営者の全てに恩恵を与えてくれるという点でしょう。
特に「コンテンツが増えすぎて管理しきれない」「もっと効率的にコンバージョンを増やしたい」という方は、効率的にSEO対策が図れるトピッククラスターの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
関連