Googleのアルゴリズムアップデートとは?順位変動の仕組みとSEO的アップデートの歴史
2019.07.05
SEO対策を施してGoogleの検索結果の上位にサイトが表示されるようになっても、アルゴリズムアップデートが行われると、何もしていないのにサイトの順位が下がってしまうことがあります。
アルゴリズムアップデートとは何なのか、アルゴリズムアップデートでなぜ何もしていないのに順位が下がってしまうのかなど、アルゴリズムアップデートに対する疑問点を解説します。
Googleのアルゴリズムアップデートとは?
アルゴリズムアップデートとは、Googleが検索結果の順位を決めている評価基準を、より正確かつ時勢に即した新しいシステムに更新することです。
Googleでは小規模なアルゴリズムアップデートから大規模なコアアルゴリズムアップデートまで、年に数回ほどのペースで行われています。
最も重要なのは、このアルゴリズムアップデートが行われる度に「Googleの検索結果が変動する」という事実です。
そもそもアルゴリズムの仕組みとは?
Googleはクローラーと呼ばれるプログラムによってインターネット上にある膨大なWebサイトの情報を収集し、検索データベースに登録しています。そして、そのデータベースの中で独自の評価基準に基づいて順位をつけ、検索結果に上位から順番にサイトを表示しています。
この評価基準に従って順位をつけているプログラムが「アルゴリズム」です。
アルゴリズムを定期的に更新することで、検索機能の精度をより高く、より正確なものにすることができます。
詳しくは後述しますが、Webサイトの中にはブラックハットSEOなど、検索アルゴリズムの欠点をついてSEOを悪用するような方法で評価を上げているケースも少なくありません。
そういった悪質サイトをより高い精度で検索結果から排除するためにも、Googleは定期的にアルゴリズムの中枢部のプログラムを更新し続けているのです。
なぜアルゴリズムアップデートで順位が変動するのか?
アルゴリズムアップデートが行われると、Googleが設定した新しい評価基準の影響を受けて、サイトの順位が変更される場合があります。
その結果、今まで上位だったサイトの順位が落ちたり、逆に今まで下位だったサイトの順位が上がったりして、検索結果の順位変動が起きるのです。
アルゴリズムアップデートの具体的な内容は、詳しく明かされないことがほとんどです。
しかし、アップデートが行われる前後でキーワードごとの検索順位を比較することで、どのようなアップデートが行われたのかをある程度予測することはできます。
特に何もしていないのにサイトの評価が下がってしまったという場合は、アルゴリズムの新しい評価基準にサイトの内容が今までほど合致しなくなってしまったのかもしれません。
Googleがアルゴリズムアップデートを行う理由
アルゴリズムアップデートは、大規模なアップデートが年に数回という比較的高い頻度で実施されています。
サイトの評価基準を更新するためだけでなく、ユーザーの利便性をより考えた結果、このような頻度で実施されているのです。
では、アルゴリズムアップデートはなぜこんなにも頻回に行われているのでしょうか。
関連性の高いサイトから上位表示させるため
アルゴリズムアップデートが行われるのは、サイトの評価基準を更新し、利用者にとってより良いコンテンツが常に上位に表示されるようにするためですが、それだけではありません。
サイトの中には、検索順位を上げるために、ブラックハットSEOやコンテンツのコピーなどの悪質なSEOを行っているサイトがあります。
このようなサイトは訪問者にとって検索の妨害になるだけでなく、SEOポイズニングなど、より悪質なサイトへの足掛かりになっている可能性もあるため、放置しておくと被害が拡大してしまうかもしれません。
こういった悪質なSEOを行っているサイトをより高い精度で検索結果から除外するためにも、アルゴリズムアップデートは重要な役割を果たしています。
このようなサイトをより正確に判定し順位を下げるなどのペナルティを与えるのも、アルゴリズムアップデートの重要な役割の一つです。
多様化するユーザーの検索方法に対応するため
Googleが検索アルゴリズムのアップデートを継続的に実施する理由として、検索方法の多様化が挙げられます。
従来のようにKWをいくつか入力するだけの検索方法から「○○の○○」といった文章型のクエリに、さらに音声検索へと変化するユーザーの検索意図を、より正確に理解できるアルゴリズムを開発・導入しているのです。
アップデートで変動が大きい「YMYL」は要注意!
アルゴリズムアップデートの影響を特に受けやすいと言われているのが、「YMYL」と呼ばれる分野のサイトです。「YMYL」とは、「Your Money,Your Life」の略称で、Googleの検索品質評価ガイドラインである「General Guidelines」にその定義が定められています。
「General Guidelines」(英語版)には、YMYLの定義について「Some types of pages could potentially impact the future happiness, health, financial stability, or safety of users. We call such pages “Your Money or Your Life” pages, or YMYL.」と記述されています。
ざっくりと翻訳すると、「ユーザーの未来の幸せ、経済的な安定、健康面、安全面などに影響を与える可能性のあるページをYMYLと定義しています」という意味です。
YMYLは特別に呼称が設定されているだけあって評価基準が厳しく、またアルゴリズムアップデートでの変動も大きいジャンルです。アップデートで評価を下げないためにも、他のサイトよりもより高い専門性や情報の信頼性が必要となります。YMYL分野のサイトを作成する際は、評価基準が他ジャンルより厳しい、ということを覚えておきましょう。
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大規模なGoogleアルゴリズムアップデートの歴史
ここからは、これまで実施されたGoogleアルゴリズムアップデートの中から、規模の大きかったケースについて順を追って解説します。
ペンギンアップデート(2012年4月)
ペンギンアップデートとは、被リンクの質に対するフィルター役を担っているアルゴリズムで、ブラックハットSEOのように不自然な外部リンクによる順位操作を防ぐ効果があります。
2012年4月に初めてバージョン1.0アップデートが導入され、2016年9月に実施されたバージョン4.0アップデートを最後に通常アルゴリズムに統合されました。
4.0以降、該当サイトは不正リンクによるSEO効果自体が無効化されるため、リアルタイムで検索順位が下落する反面、原因を取り除くことができれば評価の早期回復も可能です。
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パンダアップデート(2012年7月)
パンダアップデートとは、コンテンツの質にフォーカスしたGoogleのアルゴリズムで、高品質コンテンツの検索順位を上げて低品質コンテンツの検索順位を下げるのが特徴です。
2013年3月に実施された最後の手動更新を経て、自動更新のコアアップデートへと統合されています。
そのため、パンダアップデートとしての事前アナウンスは行われていませんが、引き続きGoogleが年に3回ほど実施しているコアアルゴリズムアップデートの一部として作動しており、2020年以降も無視できない存在です。
パンダアップデートのペナルティ対象が知りたい、対処法の優先順位が知りたいという方は下記の記事を参考にして下さい。
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ハミングバードアップデート(2013年9月)
ハミングバードアップデート(Hummingbird Update)とは、人工知能(AI)をベースとしたアルゴリズムの一種で、検索クエリの理解を深めることで会話型検索の処理能力を向上させているのが特徴です。
Googleでは他にもAIベースのアルゴリズムアップデートを実施していますので、それぞれの違いについては下記の記事を参考にして下さい。
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ベニスアップデート(2014年12月)
ベニスアップデート(ヴェニスアップデート/Venice Update)とは、たとえ検索クエリに場所に関連する具体的なキーワードが含まれていなくても、ユーザーの現在地(アクセスポイント)から推測した答えを検索結果に反映させるGoogleアルゴリズムの一種です。
検索結果にユーザーの位置情報が反映されるため、より地域性が重視される歯科医、美容室、飲食店などを扱うWebサイトほど検索順位が影響されやすく、アクセスポイントによって異なる検索結果が表示されます。
モバイルフレンドリーアップデート(2015年4月)
モバイルフレンドリーアップデートとは、モバイル端末での閲覧に適しているWebサイトの評価を上げ、反対に適していないWebサイトの評価を下げるGoogleのアルゴリズムです。
モバイルフレンドリーアップデートをきっかけに、Web制作者にとってスマホでの操作性が一段と重要なSEO要素となりました。
2015年4月の初回に続き2016年5月の2回目も全世界同時にアップデートが実施されたことからも、世界中でモバイル端末からの閲覧が主流になっていると分かります。
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Rank Brain(2015年10月頃)
RankBrain (ランクブレイン)とは、人工知能(AI)を用いて検索クエリからユーザーの意図を汲み取り、検索結果へ反映させるアルゴリズムです。
口語体の処理に優れているのが特徴で、Googleが導入しているアルゴリズムの中では「コンテンツ」「リンク」に次いで3番目に重要だとGreg Corrado氏がブルームバーグの取材で言及しています。
インタースティシャルアップデート(2015年11月/2017年1月)
インタースティシャルアップデートとは、スマートフォンでの閲覧時に広告やポップアップが画面を覆い尽くすほど表示されるWebサイトの検索順位を下げるアルゴリズムです。
本来、検索ユーザーはコンテンツの内容を閲覧するためにアクセスしていますので、過剰な広告表示はユーザーエクスペリエンスを損なう要素と見なされ、ペナルティの対象になります。
アウルアップデート(2017年4月)
アウルアップデート(Owl Update)とは、事実とは異なるフェイクニュースを含むWebサイトの検索順位を下げるために導入されたアルゴリズムです。
上位表示されたコンテンツは、たとえ嘘の情報であっても多くのユーザーに閲覧されて拡散します。
この問題に対処するため実施されたアウルアップデートによって、信憑性の高い情報を含むコンテンツが上位表示されるようになりました。
モバイルファーストインデックス(2018年3月)
モバイルファーストインデックス(MFI)とは、検索順位の評価基準を従来のPC版ではなく、スマホなどのモバイル版へと変更するアルゴリズムです。
MFIが導入されて以降、SEO対策としてレスボンシブウェブデザインの重要性が増し、2019年7月からはデフォルト扱いになるとGoogleが公式サイトでアナウンスしています。
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BERTアップデート(2019年10月)
BERTアップデートとは、KWに「~が」「~のため」などを加えた語句や文章として理解し、ユーザーの検索意図と表示コンテンツとのマッチング精度を向上させた、AIベースのアルゴリズムです。
クローラーはBERTアップデートによって、KWだけでなく「~が」「~のため」などを含めた語句や文章として理解できるようになり、音声検索のように会話型の長いクエリでも適切なコンテンツを表示できるようになりました。
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アルゴリズムアップデートで順位を下げられないために
アルゴリズムアップデートは事前に予告されることが少なく、予告があったとしてもアップデート内容までは公開されないため、事前の対策が難しいのが実情です。
ただし、2019年6月のアップデート時は大型アップデートを行う旨の予告があったので、今後は事前予告ありのアップデートも増えてくるかもしれません。
何よりも重要なのは、アルゴリズムアップデートが行われたとしても順位が下がらないサイトを構築することです。
アルゴリズムアップデートで順位を下げられないために重要な対策と、アップデートでサイトの評価が下がってしまったときにおすすめの方法をご紹介します。
ページ内のコンテンツの品質を高める
何よりも重要なのは、ページ内のコンテンツの品質です。いくらSEO対策を施しても、ページ内のコンテンツの品質が悪いと、アルゴリズムから高い評価を得ることはできません。
ページ内のコンテンツの品質を高く保つことで、アルゴリズムアップデートが行われても、大幅に評価を下げられるのを防ぐことができます。
また、SNSで拡散されるような質の高いコンテンツを作成することにより、被リンクの獲得が期待でき、結果として検索結果での順位上昇の可能性が高くなります。
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順位の下がったページのリライト
検索の順位が下がってしまった、検索での流入が減ってしまったページが出てしまったら、そのページのリライトがおすすめです。
ただし、やみくもに文章を書きなおすだけでは、正しい評価は得られません。最新の正確な情報を加筆する、より専門性の高い情報を加えるなど、利用者にとって利便性の高いコンテンツと判断されるようなリライトをすることが大切です。
さらに、リライト時にHTMLタグのdatetimeタグを使って日付を更新したり、ワードプレスの公開日時を最新のものに更新したりすると、より新しい情報としてクローラーに認識してもらうことができます。
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アルゴリズムアップデートに関する情報をキャッチアップする
アルゴリズムアップデートに対応するには、アルゴリズムの情報をキャッチアップする必要があります。常にアンテナをはり、情報収集を怠らないようにしましょう。
アルゴリズムアップデートに関する情報を集めるには、次の方法があります。
- Google公式のウェブマスター向けブログを定期的にチェックする
- Googleのオフィスアワーをチェックする
- SEOの知識がある著名人のSNSやブログをチェック
- SEO会社の情報ブログをチェック
最もおすすめなのは、Google公式の情報を集めることです。公式以外の情報は推測である可能性が高いためです。しかし、SEOの情報を発信している著名人や企業も併せてチェックすることで、より広い知見を得ることができるでしょう。
内部要因による順位変動もチェック
ここまで、アップデートによる変動に対応する方法を解説してきました。ここからは、内部要因による順位変動要因を解説していきます。
順位変動は、すべてがアップデートを起因とするものではありません。内部要因も順位変動の要因に十分になり得ます。
アップデートの対策をしても順位が変わらない場合は、内部要因を疑ってみましょう。
ペナルティ
ペナルティの対象になるものがあると、順位が下がってしまいます。コンテンツ内にペナルティの対象となるものはないか、チェックしてみましょう。
ここでは、ペナルティの対象になる要因の例を挙げていきます。
あきらかなスパム行為は近年は減ってきましたが、これらの要因は無意識にやっていることがあります。
SEOを意識しすぎてリンクを過剰に設置してしまったり、他サイトを参考にしながら執筆した記事のコピペ率が高くなってしまったりということは、うっかりやってしまうことがあるかもしれません。
リンクよりも本文を多くしたり、記事を作成したらコピペ率チェックしたりと、ちょっとした心掛けでうっかりのペナルティを防止できます。また、過去に作成したコンテンツにこれらの要因がないか、チェックしてみましょう。
他の同じテーマのコンテンツに上位をとられる
同じテーマのコンテンツを複数作成していると、評価が分散してしまいます。そのため、順位が安定せず、上位にしたいコンテンツに評価が集まらなくなってしまうのです。
サイト内でコンテンツが重複する場合は、テーマを分けたり、統合したりと、評価が分散しないように工夫しましょう。
また、メインサイトのほかにもブログやSNSなどで情報を公開している場合、同じ内容を投稿してしまうと、それが重複コンテンツ扱いされてしまうことがあります。
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モバイルフレンドリーを満たしていない
ウェブコンテンツを閲覧するユーザーの多くは、スマートフォンから閲覧することが多いです。そのため、モバイルフレンドリー(スマートフォンから見やすい)であるコンテンツが、SEOで有利です。実際に、過去にモバイルフレンドリーアップデートが何度かおこなわれているのです。
まずは、こちらのサイト(https://search.google.com/test/mobile-friendly?hl=ja)で、コンテンツがモバイルフレンドリーであるかどうかチェックしてみましょう。モバイルフレンドリーでなかったら、以下のポイントをチェックしてみてください。
- 読みやすいテキストサイズにする
- viewportタグを設定する
- 誤タップ防止にリンク同士の距離をあける
- コンテンツの幅が画面の幅を超えないようにする
これらのポイントを見直して、もう一度モバイルフレンドリーチェックおこなってみましょう。
レスポンシブデザインにすることによって、ひとつのURLでさまざまなデバイスに対応することができます。
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ページ速度が遅い
ユーザーにとって見にくいコンテンツ、使いにくいページは、SEOで不利となります。そのため、ユーザーがストレスを感じる、ページ速度が遅いコンテンツも、順位が下がってしまいます。
まずは、こちらのツール(https://www.thinkwithgoogle.com/intl/ja-jp/feature/testmysite/)で速度をチェックしてみましょう。速度が遅い場合は、次のポイントをチェックしてみてください。
- 圧縮を有効にする
- 画像を最適化する
- ブラウザのキャッシュを活用する
- 不要なコンテンツを削除する
これらのポイントをチェックし、読み込みの速度をあげてみてください。
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順位が変動しても焦らない
突然順位が落ちてしまえば、焦ってしまうこともあるでしょう。しかし、焦る必要はありません。あえて何もしないという選択もあります。
アルゴリズムアップデートにより順位が変動した場合、しばらくすると元の順位に戻ることがあります。そのため、順位が下がってすぐに対策をするのではなく、しばらく様子を見てもよいかもしれません。
目安としては、3週間~1カ月ほどみてみましょう。この期間を過ぎても順位が戻らなかった場合は、ここまでで紹介した対策をチェックしてみてください。
まとめ
アルゴリズムアップデートによる検索順位の変動に対し、事前に対策を講じるのは簡単ではありません。
だからこそ、日ごろから「質の高いコンテンツを作る」という意識をきちんと持つことが重要になってきます。
サイトにコンテンツを入れっぱなしにしておくのではなく、アップデートに合わせたリライトや最新の情報の加筆などを行い、こまめにコンテンツを更新して信頼性の高い情報を利用者に提供することが大切です。
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