YMYLの注意点とは? ジャンル別SEOの難易度と具体的な対策9選!
2023.04.20
YMYLのSEO対策は難易度が高いことで知られています。
その一方で、成功すれば大きなリターンが期待できるため、「挑戦してみたい!」と思われている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、YMYL関連のコンテンツを扱う際の注意点、ジャンル別のSEO難易度、有効な対処法についてまとめてみました。
YMYLとは?
YMYLとは、Googleの「検索品質評価ガイドライン」の項目の1つで、「Your Money Your Life」の略です。
日本語に直訳すると「あなたのお金、あなたの人生」となりますが、平たく言えば「現在および将来にわたって人々の幸福や安全に大きな影響を与える情報、つまり金融・健康・法律などをテーマにしたWebコンテンツ」を指しています。
なお、本記事では、2022年12月に改定された最新版のガイドラインを元に解説していきます。
「YMYL領域」と「非YMYL領域」の違い
Googleは人々の幸福や安全を左右するテーマ・トピックを「YMYL領域」、それ以外を「非YMYL領域」として区分しています。
▼YMYL領域
- クリックするだけで絶対に儲かるオススメの副業
- 子供の身長が確実に10㎝伸びるサプリメント5選
- 遺産相続のノウハウ
ポイントは、「絶対」「必ず」など成果を担保する単語を使用しているかどうかではありません。
内容が誤っていた場合、ユーザーの生命・資産に悪影響を与えるジャンルを扱っている時点で、YMYL領域と見なされます。
▼非YMYL領域
- ペットの成長日記
- デジタル漫画の描き方
- DIYでダイニングテーブルを作ってみた!
一方、上記のようなコンテンツには、「正解」も「誤り」という概念もありません。
ユーザーが大きな被害を負うとは考えにくいため、非YMYL領域となります。
YMYLで低品質コンテンツだと評価された場合は?
GoogleはYMYLジャンルの情報に関して、かなり厳格な評価基準を設けています。
したがって非YMYL領域と比較すると、同じ低品質コンテンツでも下記のような厳しい処置が下されるケースが多いのです。
▼YMYLの低品質コンテンツに対する処置
なぜ「YMYL領域」は「非YMYL領域」よりも評価が厳しいのか、その理由は将来的に読み手の人生に大きな影響を与える可能性のある情報だからです。
例えば、病気に関する情報をユーザーが調べていた場合、そこに間違った情報があるとユーザーの将来を左右し兼ねません。
このように、Googleは1歩間違えば大きな問題になり得る情報をYMYL領域とし、一般的なSEO基準よりもさらに厳しい基準を定め、検索結果に載る情報の品質を高めようとしているのです。
YMYLの対象ジャンル・テーマ7つ
YMYL対象のジャンルは、下記の7つに分類されています。
▼YMYLの対象ジャンル
- News and current events(ニュースと時事問題)
- Civics, government, and law(市民の権利・政府・法律)
- Finance(金融情報)
- Shopping(買い物)
- Health and safety(健康と安全)
- Groups of people(人々のグループ)
- Other(その他)
News and current events(ニュースと時事問題)
YMYLの中で比較的、難易度が低いのが「ニュースと時事問題」です。
下記の通り範囲は多岐にわたりますが、ファクト元となる公共機関からのアナウンスが多いため、情報ソースを探す手間はかかりません。
▼YMYL領域の該当ケース
- 国際問題:内戦・大統領選挙・難民問題など
- 社会経済:子育て支援・人口問題など
- 政治:選挙・汚職問題など
- 災害:地震・津波・火山の噴火など
- 科学:新しいテクノロジー・ノーベル賞など
注意点としては、すべてのニュースがYMYL領域に当てはまるという訳ではないという点です。
同じニュースでも、スポーツ・エンターテインメント・グルメイベントといった、幸福・健康・経済的安定性・安全性に対して関連性の薄いジャンルは、YMYL領域に含まれません。
Civics, government, and law(市民の権利・政府・法律)
すべての日本人に関連する「国家規模」の情報も、代表的なYMYLにあたります。
▼YMYL領域の該当ケース
- 確定申告の方法
- 感染症の法令
- マイナンバーに関する情報
- 日本国憲法の改正
- 裁判の結果や判例
上記のようなジャンルを扱うコンテンツで最も信憑性の高い情報源となるのは、政府や地方自治体といった行政機関が運営している公的なWebサイトです。
こちらも情報ソースが豊富なため、他のYMYLジャンルに比べてSEOの難易度は高くはありません。
一方、法律関連の情報については、弁護士・司法書士・行政書士などの専門家が執筆、または監修しているコンテンツが理想的です。
Finance(金融情報)
金融・資産・税務など、お金にまつわる情報もYMYL領域に含まれます。
▼YMYL領域の該当ケース
- 投資(株式・FX・不動産投資など)
- 年金・保険・税金
- 財務上のアドバイス
- 決済サービスの紹介サイト
- クレジットカード
- デジタルマネー
- 仮想通貨
上記のような情報を扱うコンテンツでは、ライターの経験値や主観が目立ちますが、実がSEO難易度は高め。
中にはウソの「売上げ実績」を掲載しているサイトも多いため、よほどの知名度がなければ信用されません。
注意点としては、「必ず」「確実」「簡単」といったワードを使わないこと。
担保できない情報は、「おすすめ」程度に留めておくのがセオリーです。
Shopping(買い物)
ユーザーに金銭の消費を促すコンテンツは、すべてYMYL領域に指定されています。
▼YMYL領域の該当ケース
- 商品のレビュー
- ECサイト
- 物販アフィリエイト
- 金券やチケットの販売サイト
- アプリやサービスの有料ダウンロード
- 課金が必要なゲームの紹介
英語圏のみにプロダクトレビューアップデートが導入されて以降、SEO難易度は高めになっています。
2022年6月の時点では、まだ日本への導入を認めていないものの、Googleが多言語に展開する予定と明言している以上、警戒しておいて損はありません。
また、ガイドラインには明記されていませんが、ポイントを現金やデジタルマネーに換金できる「お小遣いトサイト」を紹介するコンテンツも、YMYL領域と思って良いでしょう。
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Health and safety(健康と安全)
YMYLの中で最もSEO難易度が高く、特にGoogleが厳しく監視しているのが、健康と安全に関わる情報です。
▼YMYL領域の該当ケース
- 病名の診断
- 治療方法
- 民間療法
- 症状を緩和する方法
- 治療後のアドバイス
- 薬剤の効能
場合によっては、「○○を食べると××が治る」など、薬膳を含む飲食物についてもYMYL領域に該当するケースがあるため注意が必要です。
一方、「子宝にご利益がある神社」や「家内安全にご利益がある仏閣」などは、効果を保証している訳ではないので、非YMYL領域と言えます。
ただし、効果効能を謳っている温泉を紹介するコンテンツはグレーゾーンにあたるため、化学的根拠を提示しなければなりません。
Groups of people(人々のグループ)
「人々のグループ」がYMYL領域に指定されている理由は、コミュニティ間で争いを生むリスクを孕んでいるからです。
ヘイトスピーチはもちろん、中には国(世論)が2つに分断される深刻なケースも報告されていますので、SEO難易度は高いと言って良いでしょう。
▼YMYL領域の該当ケース
- 人種・民族・国籍・肌の色
- 宗教
- 身体的ハンディキャップ・知的障害
- 年齢・世代(ゆとり世代・バブル世代)
- 性別・ジェンダー
- アイデンティティー
Other(その他)
人生における重要な分岐点、あるいは生活に著しい変化をもたらすジャンルもYMYL領域にあたります。
▼YMYL領域の該当ケース
- ダイエット・フィットネス
- 栄養
- 進学
- 就職
- 住宅情報
金融・健康と安全・人々のグループと比べるとSEO難易度は低めですが、専門性・権威性が求められるのは同じです。
GoogleがYMYLを重視する理由
なぜGoogleは、YMYLを他のジャンルと区別するほど重視しているのでしょうか。
この点を理解するために、3つの項目に分けて解説していきます。
▼YMYLの重要性を裏付ける根拠
- Google検索品質評価ガイドライン(2022年12月の改訂版)
- YMYLに関連するGoogleのアップデート
- ウェルクアップデートの背景
Google検索品質評価ガイドライン(2022年12月の改訂版)
結論から言うと、GoogleがYMYLを重視しているのは間違いありません。
その根拠となっているのが、2022年12月15日に発表された最新のGoogle検索品質評価ガイドラインです。
これらのトピックに関するコンテンツは、人々の健康、経済的安定、安全、または社会の福利に大きな影響を与える可能性があるため、一部のトピックは害を及ぼすリスクが高くなります。これらのトピックを <Your Money or Your Life= または YMYL と呼びます。
(中略)
明確な YMYL トピックのページは、ページ品質の評価を最も精査する必要があります。
引用:Google検索品質評価ガイドライン2.3 P11
「検索品質評価ガイドライン」とは、検索結果の品質を保つためにGoogleが定めている基準です。
これまで何度か更新されており、2022年に公開された最新版にも「YMYL=良くも悪くも影響力が大きいトピック」だと明言しています。
そのうえ、最も厳しく評価・精査すべきとまで言及しているのです。
YMYLに関連するGoogleのアップデート
GoogleがYMYLを重視しだしたのは、最近のことではありません。
2011年度以降、度々YMYLの品質を向上させるべくアルゴリズムのアップデートを重ねていました。
▼YMYLに関する代表的なアップデート
- 2011年2月:パンダアップデート
- 2011年12月:フレッシュネスアップデート
- 2017年2月:ウェルクアップデート(通称)
ウェルクアップデートの背景
注目すべきは、2017年2月に日本限定で実施されたウェルクアップデート(通称)でしょう。
発端となったのは、2016年に起きた「WELQ問題」です。
「WELQ(ウェルク)」とは、株式会社DeNAが運営するキュレーションサイトで、医療系まとめサイトの筆頭でした。
しかし、同サイトにてフェイクニュースが拡散され、専門知識を持たない素人ライターが医療系の記事を執筆していたことが、調査で判明したのです。
これを機に、これまで文字数が大量というだけで上位表示されていた「まとめサイト」がいくつも閉鎖され、「量より質」が問われるようになりました。
たからこそGoogleは、ユーザーの人生に大きな影響を与えるコンテンツをYMYL領域として区分し、とくにファクトチェックを厳守すべきジャンルとして検索品質評価ガイドラインに追加したのです。
YMYLはE-E-A-T(旧E-A-T)厳守が必須!
YMYLを語るうえで欠かせないのが、E-E-A-T(旧E-A-T)の存在です。
E-E-A-Tは下記の4項目で構成されており、すべてYMYLの信憑性を裏付ける根拠となります。
▼E-E-A-Tの構成要素
- Experience(経験)
- Expertise(専門性)
- Authoritativeness(権威性)
- Trust(信頼性)
E-E-A-Tが欠如しているYMYL領域のコンテンツは低品質と見なされるため、検索結果で上位表示される可能性は極めて低いでしょう。
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YMYLのSEO対策9選!
ここからは、YMYL関連のコンテンツにとって有効なSEO対策について解説していきます。
▼YMYLのSEO対策
- 専門家が執筆・監修したファクト情報を提供する
- 著者情報・監修者を明記する
- 記事の正確性を担保する根拠を記載する
- サイトの運営会社・責任者・サポート情報を明記する
- Googleマイビジネスを活用する
- 常に最新情報が提供できるよう更新する
- 良質な被リンクを増やす
- HTTPS化する
- 1つのサイトにYMYLと非YMYLコンテンツを混ぜない
専門家が執筆・監修したファクト情報を提供する
最も望ましいのは、各分野の専門家に依頼して記事を執筆してもらう、または監修を依頼する方法です。
▼理想的なライター・監修者
- 法律・法令:弁護士・司法書士・行政書士
- 金融系:ファイナンシャルプランナー・税理士など
- 医療系:医師・薬剤師・看護師・助産師など
プロとしての見解で説得力を持たせつつ、Web上の情報だけで自己判断をせずに専門家への相談を促しましょう。
著者情報・監修者を明記する
コンテンツを作成または監修した人は誰なのか、何をしている人なのか、といった項目は、ユーザーにとっても気になる点です。
だからこそ、信頼性のあるサイトを目指すには著者情報を充実させることが重要。
具体的には、著者毎のプロフィールページを作成したり、SNSの情報を公開したりすることで信頼性を高めることができます。
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記事の正確性を担保する根拠を記載する
YMYLジャンルでは、実験のデータや研究論文といった専門性・正確性の高い情報を、「手を加えずに」引用しましょう。
一般的なコラムや記事などでは、著者の感想を執筆することがありますが、YMYLジャンルでは正確な情報を発信することが第一です。
とくに厚生労働省・地方自治体・WHO(世界保健機関)などの公的機関は、ファクト元として申し分ありません。
サイトの運営会社・責任者・サポート情報を明記する
執筆者だけでなく、サイトの運営会社や責任者の氏名を明記しておくのも、YMYLのSEO対策として有効な手段です。
中には、個人のブログだからと言って「ニックネーム」だけを公開しているケースも多いようですが、YMYL領域のコンテンツを扱うWebサイトとして、妥当とは言えません。
一方、本名と保有している資格をプロフィールで公開している場合は、個人運営のサイトであってもユーザーから信用される傾向が見られます。
また、先ほどご紹介したE-E-A-Tに関係しますが、YMYLジャンルでは専門性や権威性が重要になるため、ユーザーにとって難しい内容を載せることも多いでしょう。
そこでおすすめしたいのが、「お問い合わせフォーム」や「よくある質問」といったサポート情報です。
ユーザービリティの向上に繋がるのはもちろん、ユーザーから「掲載している情報が古いのでは?」と指摘を受けることもできるため、運営者にとっても役立ちます。
Googleマイビジネスを活用する
店舗を運営されている企業であれば、Googleマイビジネスに登録しておきましょう。
Googleマイビジネスとは、Googleマップ上で店舗の画像・特典・営業時間などを表示させることができるサービスです。
登録する段階でGoogleから認証を受ける必要があるため、「掲載されている=実在する店舗」として信頼性が高まります。
口コミ機能もあるためユーザーの意見が集まりやすく、返信することでポジティブな印象を与えられるでしょう。
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常に最新情報が提供できるよう更新する
ユーザーは、常に「最新の情報」を求めています。
一度作成したコンテンツでも、常に最新情報に更新することをオススメします。
長期間にわたって更新されていないコンテンツはGoogleから低評価を受けるため、SEO対策としても効果的です。
とくに鮮度が求められる情報を更新していない場合は、フレッシュネスアルゴリズムによって検索順位が大幅に低下し兼ねません。
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良質な被リンクを増やす
YMYLで最も重要なのは、コンテンツの正確性です。
とはいえ、「社内に有資格者がいない」「専門家に執筆を依頼する予算がない」という方も多いでしょう。
そこでおすすめしたいのが、良質な被リンクやサイテーションを増やす方法です。
公的機関のオフィシャルサイトの情報を元に執筆したコンテンツを増やすことで、プロからの被リンクを獲得しているWebサイトも少なくありません。
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HTTPS化する
YMYLだけでなく、E-E-A-Tにとっても重要なのがHTTPS化です。
そもそも、HTTPS化されていないWebサイトは、ユーザーにとって安心して閲覧できる情報源とは言えません。
HTTPS化は、ユーザーに対して安心感・信頼感を与える役目を担っているのです。
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1つのサイトにYMYLと非YMYLコンテンツを混ぜない
YMYLジャンルのような慎重に扱わなければならない領域と、非YMYLジャンルの内容が同じサイト内に混合していると、Googleはサイト全体がどのような情報を発信しているのか判断できません。
この点は、2021年9月にGoogleのJohn Mueller氏が発言されています。
サイトのテーマはある程度一貫性のあるものにしなければ、評価が安定しないということでしょう。
Webサイト全体のテーマは、1つに絞るのが基本です。
【Q&A】YMYLのよくある質問と注意点
最後に、YMYLのよくある質問と注意点についてご紹介します。
▼よくある質問と注意点
- YMYLのSEO難易度は高い?
- アフィリエイトや個人ブログではYMYLを避けるべき?
YMYLのSEO難易度は高い?
結論から言うと、YMYLのSEO難易度は非YMYLよりも明らかに高いです。
扱っている情報がユーザーに与える影響の種類、範囲を考えると当然と言えるでしょう。
古い情報を掲載している場合も「誤情報」とみなされるため、注意が必要です。
アフィリエイトや個人ブログではYMYLを避けるべき?
YMYLに相当するジャンルは、アフィリエイトや個人ブログに向いているとは言えません。
そもそもYMYLがGoogle検索品質評価ガイドラインに追加された理由は、素人ライターが執筆したフェイクニュースが発端です。
難病に苦しんでいる人、あるいは借金を抱えている人にとって、フェイクニュースは害にしかなりません。
だからこそ、GoogleはYMYLジャンルに対して厳しく評価をするようになったのです。
「個人で専門家に執筆を依頼するのは金銭的に厳しい」「そもそも知り合い有資格者がいない」という方は、SEO対策のプロへ依頼してみてはいかがでしょうか。
まとめ
YMYLのSEO対策で最も重要なのは、情報の正確性です。
そもそも、大量の情報で溢れているネット上で、ファクトニュースとフェイクニュースを見分けるのは至難の業。
その点、執筆者のプロフィールや情報元である公的機関名が明記されているコンテンツであれば、ユーザーに安心感を与えることができます。
YMYLのジャンルを扱っている方は、ぜひ本記事でご紹介したSEO対策を参考にして下さい。
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