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カスタマージャーニーマップとは、消費者が辿る経路を「旅」に例えたマーケティング用語です。とはいえ、「用語として知っている程度」「実際に作ったことはない」という方が多数派なのではないでしょうか。そこで今回は、SEOとの関係や得られるメリット、具体的な作成方法について徹底解説します。
目次
カスタマージャーニーマップとは、顧客がどのような行動・思考・感情を経て購買に至り、購入後にどのような感想を持っているのか、一連の流れを時系列で図式化したフレームワークのことです。
事実に基づく「お客様のブランド体験」をビジュアル化した表、と言った方がイメージしやすいかもしれません。
この段落では、カスタマージャーニーマップへの理解が深まるよう、3つの項目に分けて詳しく解説します。
▼カスタマージャーニーマップとは何か
カスタマージャーニーとは、日本語で「お客様の旅」と直訳できる通り、顧客が商品やサービスの存在を認知してから購買後の満足度までのプロセスを、「旅行の工程」に見立てたマーケティング用語を指しています。
単純な行動パターンだけでなく、下記の2点を満たしているのが特徴です。
▼カスタマージャーニーの特徴
カスタマージャーニーマップを作成する目的は、ステージごとに変化するユーザーの行動・思考・感情を「事実に沿って客観的に整理する」ことです。
お客様(カスタマー)が辿る一連の流れ(ジャーニー)は、認知→比較→検討→購入といった段階を踏み、フェーズが進むにつれて行動だけでなく思考や感情も変化していきます。
つまり、フェーズによって異なるユーザーの「行動・思考・感情」が正しく把握できれば、「顧客体験の向上」や「マーケティングの最適化」に繋げることができるのです。
カスタマージャーニーとユーザーシナリオには、「顧客が商品と接している状況を可視化している」という共通点があるため、混同されている方も多いのではないでしょうか。
しかし、両者には下記のような決定的な違いがあるのです。
▼相違点
事実に基づいたカスタマージャーニーから問題点を洗い出し、改善を重ねることで、企業にとっての理想形であるユーザーシナリオへと顧客を誘導することができるのです。
カスタマージャーニーマップは実店舗だけでなく、サイト運営者にとっても大きなメリットをもたらしてくれます。
ここからは、カスタマージャーニーマップを作成するSEO的メリットについてご紹介しましょう。
▼SEO的メリット5つ
1つ目のメリットは、ユーザー行動や思考などを深掘りすることで、有効なSEOキーワード(CVキーワード)が見えてくるという点です。
ユーザーニーズを満たすコンテンツ作りには、「何が利用者の背中を押したのか」と「どのような情報が不足しているのか」の探求が欠かせません。
購入後のアンケートなどから下記のような情報を収集していくと、追加または強化すべきキーワードが明確になっていきます。
▼SEOキーワード選択に役立つ情報
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なぜカスタマージャーニーマップを作成するとSEOに必須のCX(顧客体験)が向上するのか、その根拠となっているのが下記のプロセスです。
▼CX・UXが向上する仕組み
CX(カスタマーエクスペリエンス:Customer Experience)とは、「顧客体験」または「顧客の体験価値」という意味を持つビジネス用語の一種です。
CXにおける「価値」とは「お客様の評価」を指しており、購入前の資料請求への対応から購入後のサポートに至るまで、自社の商品・サービスに関連した全ての体験を通して判断されます。
ちなみに、Webサイトやブログといったインターネットを介するビジネスシーンでは、CXと同じ意味合いのUX(ユーザーエクスペリエンス:User Experience)が使われるケースが多いようです。
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顧客と自社商品との接点(タッチポイント)を強化できるのも、カスタマージャーニーマップならではのメリットでしょう。
特に重要なのが、お客様が商品やサービスを「初めて認知するきっかけ」!集客に直結するSEO対策の基本です。
一昔前であれば、テレビCMや雑誌への掲載といった従来の宣伝方法が主流でした。
しかし、スマホやタブレットなどのモバイル端末が普及するにつれて、流入経路が多様化しているのです。
▼お客様が商品やサービスを認知するきっかけ
カスタマージャーニーマップでは、顧客が「いつ」「どこに居て」「どこから」自サイトへ流入しているのか、事実に基づく洗い出しを行います。
その結果、より認知度を高めるために「強化すべき接点」と「講じるべき最適な施策」が見えてくるのです。
強化すべき接点は自社の公式サイトなのか、あるいはInstagramなどのSNSなのか、カスタマージャーニーマップを使って検証してみましょう。
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4つ目のメリットは、改善すべき課題が発見しやすくなるだけでなく、優先順位の決定にも役立つという点です。
カスタマージャーニーマップの作成工程はいくつかに分かれていますが、最初にゴールを設定し、最後に「改善すべき課題の分析」を行います。
優先順位を決定するポイントは、「どの課題を解決すると効率よくゴールに近づけるのか」を精査すること。
まずは、フェーズごとに問題点を洗い出したうえで「課題の重要度」を比較してみましょう。
改善を繰り返すことで、リピーターの獲得にもつながります。
目的を達成するには、企画開発・営業・SEOアナリスト・Webデザイナー・コンテンツ製作など、部署の垣根を越えた協力関係が不可欠ですが、認識が統一されていなければ理想的な結果には辿り着けません。
その点、カスタマージャーニーマップを作成しておけば、メンバー全員が顧客の行動・思考・感情・課題の全情報を正しく共有できるため、下記のような効果が得られるのです。
▼認識を共有するメリット
チーム内で認識が共有されていないと、的外れなキーワードを選んでしまったりサイトの導線が複雑になったりと、SEO的にも不利になりがちです。
具体的な手順を解説する前に、成功している企業がカスタマージャーニーマップに取り入れている共通点についてご紹介します。
▼作成ポイント
カスタマージャーニーマップは、企業側の「こうなれば良いな」といった希望や「こうなるはず!」といった思い込みではなく、あくまで事実を踏まえた顧客目線で作成しなければなりません。
企業にとって都合の良い想像で作成すると正しく分析できないため、課題の洗い出しも対策の考案も的外れになってしまいます。
具体的には、下記のような信ぴょう性の担保されたデータを活用しましょう。
▼事実に基づくデータの一例
VOC(Voice of customer)とは、「お客様の声」や「顧客の見解」を意味するワードです。
商品やサービスに対する感想・意見・要望・クレームはもちろん、お客様からのお問い合わせに対応したスタッフの言葉づかいや態度に関する評価も、カスタマージャーニーマップに反映させましょう。
完成度の高いカスタマージャーニーマップとは、異なる視点を持ったスタッフの意見を網羅しています。
例えば、SEOアナリストだけでチームを組んだ場合、物事を同じ視点で捉えるため仕上がりに「偏り」が生じがちです。
一方、コンテンツ製作者・カスタマーサービスの担当者・営業といった視点の異なるメンバーで取り組むと、情報量が増えるだけでなく「新たな気付き」が加わる分、偏りのない完成度の高いカスタマージャーニーマップに仕上がります。
シンプルな目的・ゴールに設定しているのも、マーケティングに成功している企業の特徴です。
そもそも、カスタマージャーニーマップは作成することが目的ではなく、あくまでゴールとして掲げた目標を達成するためのツールです。
複雑にし過ぎたり内容を盛り込み過ぎたりすると、作成自体に膨大な時間がかかるうえ、肝心の施策がスムーズに進まない傾向が見られます。
下記のように、ゴールとしてCV(コンバージョン)を1種類に絞るのがコツです。
▼目的やゴールの一例
※上記のテンプレートはこちらからご自由にダウンロードして下さい。(印刷時はA3推奨)
ここからは、カスタマージャーニーマップの作り方を9段階のステップに分けて手順に沿って解説します。
▼作り方の工程
最初に行うのは、目的とゴール(CV:コンバージョン)の設定です。
前述した通り、どちらも1つに絞ってシンプルに設定しましょう。
▼目的・ゴール設定の一例
目 的 | ゴール |
---|---|
ブランドの認知度アップ | サイトへの集客アップ |
見込み客の増加 | 資料請求を増やす |
新商品の販促 | 初回制作分の完売 |
LTV(顧客生涯価値)の向上 | 商品のリピート購入を増やす |
Web経由で店舗来店数を増やす | Webで申し込み後の来店 |
2番目の工程は、ペルソナの設定です。
性別や年代といったアバウトなターゲット像ではなく、下記の全てについて深掘りするほど仕上がりの完成度がアップします。
▼ペルソナ設定に必要な項目
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3番目の工程は、カスタマージャーニーマップの縦軸を設定する作業です。
項目が多すぎると複雑になり過ぎるため、一般的には下記の5項目が採用されています
▼縦軸の項目
4番目の工程は、横軸(ステージ)を設定する作業です。
一般的には下記の4項目が主流ですが、目的や扱う商品に合わせてカスタマイズしても構いません。
▼横軸のステージ
フレームワークのひな形が完成した後に行うのが、タッチポイントの洗い出しです。
タッチポイントとは、顧客が横軸の各ステージで行動した際に接した、WebサイトやSNSといった媒体(media)を指しています。
お客様が辿るプロセスを表している、横軸のステージごとに記入していきましょう。
▼タッチポイントの一例
6番目の工程では、アンケートなどで収集した実際のデータを基に書き込んでいきます。
1つ前の工程で洗い出したタッチポイントとセットで埋めていきましょう。
▼顧客行動の一例
顧客行動は、目的やゴールとは違い1つに絞る必要はなく、むしろ多い方が望ましいとされています。
お客様が商品やサービスと接した際に「実際に行った行動パターン」を、全て書き出していきましょう。
7番目の工程は、顧客の「思考」を書き込む作業です。
お問い合わせ履歴やレビューへの投稿を基に、ポジティブ・ネガティブを問わず両方の意見をありのままに盛り込むことで、正確な課題が浮き彫りになります。
▼思考の一例
8番の工程は、顧客の「感情」を書き込む作業です。
行動や思考と同様に、お客様が各ステージでどのような感情を抱いていたのか、整理していきましょう。
▼感情の一例
カスタマージャーニーマップの最終工程は、最も重要な課題の抽出と分析です。
着目すべきは「ユーザーからのマイナス評価」!なぜ購買に至らなかったのかを突き止めるには、ネガティブな行動・思考・感情こそが大きなヒントになります。
ただし、「CVは合格ラインだが想定していたペルソナとマッチしていない」など、少数派とはいえポジティブな結果から課題が見つかることがあるのも事実。
つまり、課題の抽出と分析を行う際は多角的な視点で考察すべきなのです。
▼認知・興味
▼情報収集・比較検討
▼体験・購入
カスタマージャーニーマップが完成したら、洗い出した課題に対する解決策を考案していきましょう。
成功者に共通点があるように、カスタマージャーニーマップを作成したにもかかわらず、その後のマーケティング施策で失敗する企業にも共通点があります。
▼失敗する代表的な原因
上記の内、最も失敗する確率が高いのが「企業側の願望で作成している」ケースです。
有りのままの実情をベースにしなければ、いつまで経っても解決すべき課題は見つかりません。
カスタマージャーニーマップを作成する際は、専用ツールやテンプレートを使うと便利です。
ただし、搭載されている機能はツールごとに異なるため、自社が提供している商品やサービスの特性に適しているか、比較する必要があります。
ちなみに、当社ペコプラでも本記事でご紹介しているテンプレートを無料で提供していますので、ご自由にダウンロードして下さい。
▼おすすめのテンプレート
出典:KARTE
KARTEが提供しているツールの最大の強みは、顧客1人ひとりに対して最適なアプローチができる、という点です。顧客行動をリアルタイムで分析したうえで可視化してくれるので、タッチポイントごとに変化するユーザーの思考や感情にも対応できる仕組みになっています。カスタマージャーニーマップだけでなく、ペルソナ設定に活かしている方も少なくありません。
「Keynote」は「15VISION」が提供しているカスタマージャーニーマップ用テンプレートで、Webデザイナー向けのコンテンツとして定評があります。見た目がシンプルで初心者でも直観的に使いこなせるのは、UI設計やプロダクト開発を担当しているデザインユニットが制作しているからでしょう。
出典:Lucidchat
「無料版から試してみたい!」という方におすすめなのが、Lucidchartが提供しているクラウドタイプです。初心者でも扱いやすい数種類のテンプレートから選べるのも嬉しいポイント。カスタマージャーニーマップ専用ではなく、フローチャートの作成ツールとして提供されていますので、扱っている商品やサービスに合わせてカスタマイズしてみましょう。
セールスフォースが提供しているMarketing Cloudは、多機能タイプを希望する方に選ばれている「マーケティングオートメーションツール」です。カスタマージャーニーマップの作成だけでなく、マーケティング施策を含めた一連の営業活動を自動化してくれます。
ほんの数年前まで、「カスタマージャーニーマップとは」と聞かれて即答できないSEO関係者も珍しくありませんでした。
しかし、顧客の行動・思考・感情・課題のすべてを時系列で見える化したカスタマージャーニーマップは、今やネットビジネスに携わる方が導入すべきマーケティング戦略として主流になりつつあります。
成功の秘訣は、いかにユーザー視点に立って客観的に作れるかどうか。
CV率が伸びない理由が分からなくて悩んでいる方は、ぜひ本記事を参考にして挑戦してみて下さい。