SEO的に注意したいドメイン変更時のチェックポイント
2020.12.11
今回は、ドメインを変更する際にSEO的に注意したいポイントについてお伝え致します。
お客様からもよくいただく質問となりますので、これからドメインを変更する予定がある方は、以下の注意点をご確認いただき、これまで大切に育ててきたサイトの評価がきちんと新しいドメインに引き継がれるようにしましょう。
ドメイン変更のメリット・デメリット
ドメイン変更をすることのメリットですが、SEO的には基本的にドメイン変更で得られるメリットは少なくデメリットの方が大きいです。
メリットがある場合としては、現在使っているドメインがペナルティになってしまっている。という場合はメリットがあります。
現状のドメインでは、何をしても順位が上昇しない。それどころかずっと圏外のまま。という場合はドメインを変更することでその状況を打開できる可能性があります。
デメリットはそれまで他のサイトから得ていたリンクの評価がなくなってしまうことです。
Googleは検索順位を決定する要因として、被リンクを重要な要素として使用しています。その被リンクはドメインを変更してしまうと基本的にはなくなってしまうため、それまで得ていた評価がなくなってしまいます。
これを防ぐために、ドメイン変更時には一般的にリダイレクトを行います。
被リンクを増やすコツについては下記の記事でも解説しています。
ドメイン変更のタイミングとは?
ドメイン変更は、先にも解説したとおりSEOの観点からデメリットのほうが大きいものです。しかし、ドメイン変更が必要になることもあります。
代表的な例として、サイト名やサービス名などが変更になった場合があります。ドメイン名にサイト名などを使っていた場合、ドメイン変更をしたほうがよいでしょう。
たとえば、ペコプラのサイトのドメインは「pecopla.net」です。仮に社名を「ABC」に変えた場合、旧社名の「pecopla.net」を使い続けるのは違和感があります。そのため、「ABC.net」などのドメインに変更したほうがよいと言えます。
ドメイン変更の手順
ドメイン変更が必要になった場合、どのような手順でおこなえばよいのでしょうか。できる限りSEO効果を保ったままドメイン変更するためには、次の手順を取ります。
- 新サイトの準備
- 現在のURLのリスト化
- URLマッピングの作成
- リダイレクト設定
- サイトマップ送信
詳しくみていきましょう。
新サイトの準備
はじめに、移転先となる新サイトを作りましょう。その際には、Googleにインデックスさせないように設定しておく必要があります。robots.txtを使うことで、インデックスさせないようにできます。
robots.txtの詳しい記述方法は、こちらの記事を参考にしてください。
https://pecopla.net/seo-column/about-robots-txt
現在のURLのリスト化
続いて、変更前のサイトの全ページのURLリストを作成しましょう。「URLマッピング」のために必要な手順です。
CMSによっては自動でリスト作成できる機能がついていることがあります。上手く活用しながらおこなってください。
URLマッピングの作成
作成したリストを使い、URLマッピングを作成します。どのURLをどのURLにリダイレクトするかを決めましょう。
リダイレクト設定
リダイレクトを実施します。リダイレクトとは、古いURLに訪問された際に、新しいURLへ転送することです。後述しますが、リダイレクトは301リダイレクトをしましょう。
サイトマップ送信
リダイレクトが完了したら、robots.txtのブロックを解除します。robots.txtが残っているとそのページは評価されなくなってしまうので、残っている箇所がないかしっかり確認してください。
そして、ドメイン変更前と後のサイトマップをGoogleに送信します。Googleサーチコンソールを使ってアドレスの変更もおこないましょう。
SEO効果を高めるサイトマップの最適化方法については下記の記事でも解説しています。
ドメイン変更時のリダイレクト方法
リダイレクトですが、2種類あります。「301リダイレクト」と「302リダイレクト」です。
- 301リダイレクト・・・恒久的な転送。リダイレクト先のドメイン(新しいドメイン)で今後も運営していきますという意味になります。
- 302リダイレクト・・・一時的な転送。リダイレクト先のドメインは一時的に使用しているだけで、将来はリダイレクト元のドメイン(古いドメイン)に戻りますという意味になります。
どちらのリダイレクトも、一般的には「.htaccess」というファイルを使用して行います。
契約しているサーバーによってやり方が異なりますので、リダイレクトがうまくいかない場合は、契約しているサーバーに問い合わせてみてください。
一般的なリダイレクト方法(301リダイレクト)
- 「test.htaccess」というファイルを作成します。(ファイルにはまだ何も書かれていません。)
- そのファイルをメモ帳などのテキストエディタで開きます。
- ファイル内に以下を記述します。(古いドメイン:▲▲▲.com 新しいドメイン:●●●.com)
<IfModule mod_rewrite.c>
RewriteEngine On
RewriteCond %{HTTP_HOST} ^(www.▲▲▲.com)(:80)? [NC]
RewriteRule ^(.*) http://www.●●●.com/$1 [R=301,L]
</IfModule>
- 上記を記述したファイル「test.htaccess」をFTPにてサーバーにアップ
- ファイル名を「test.htaccess」から「.htaccess」に変更
上記で、301リダイレクトの設定ができます。「www.▲▲▲.com」にアクセスすると、「www.●●●.com」に転送されます。
また、上記の記述方法ですと、下層ページのURLにも対応しているため、「www.▲▲▲.com/company.html」にアクセスすると、「www.●●●.com/company.html」に転送されます。
ただし、ファイル名が同じであることが条件となりますので、新しいドメインになる際に、ファイル名も大幅に変更されるという場合は上記の記述では対応できませんので、ご注意ください。
.htaccessを利用したリダイレクトについては、下記のコラムを参照して下さい。
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ペナルティになってしまったドメインの変更について
運営しているサイトが圏外から脱せず、全く順位が上昇しなくなってしまった場合は、最終手段としてドメインを変更するという方法が残されています。
それまでに、サイトの内部・外部を確認し、何かGoogleから評価が下げられるような部分がないかチェックし、改善も行った上でどうしても順位が回復しないという場合に行います。
ペナルティになってしまったドメインの変更ですが、上記で説明させていただいたような301リダイレクトは使用しません。
なぜかと言いますと、301リダイレクトは旧ドメインの評価を新ドメインに引き継ぐために行うリダイレクトとなるためです。
今回のケースのように、ドメインがペナルティを受けている場合は、そのペナルティを引き継がないようにしなければいけないので、301リダイレクトは使いません。
外部SEO、内部SEOについては下記の記事でも解説しています。
評価を引き継がずにドメイン変更を行う方法
- 旧ドメインのトップページに案内文を掲載します。
例)
●●株式会社のWebサイトは以下のURLに引っ越しました。
http://◯◯◯.com/
- 上記案内文のURLにリンクを設定する際に、「nofollow」を設置する。
例)
<a href="http://◯◯◯.com/" rel="nofollow">http://◯◯◯.com/</a>
上記のように「rel=”nofollow”」をaタグ内に設置することで、旧ドメインから新ドメインにリンクが貼られているのですが、評価を引き継ぐことなく、ドメイン変更が可能となります。
nofollowの設定方法などについては下記の記事でも解説しています。
ツールの再登録
ドメインを変更する場合、それまでWeb解析などで使用していたツールも登録しなおす必要がございます。
Googleのサービスですと、「Google Search Console」や「Google Analytics」などは新たに登録する必要がありますので、忘れずに再登録をしましょう。
上記ツール以外でも、URLを登録しているサービスがあり、今後も使用していくという場合は、再登録の必要があります。
Google Search Console・Google Analyticsの使用方法などについては下記の記事でも解説しています。
ドメイン変更の注意点
ドメイン変更の際には、いくつかの注意点があります。SEO効果を保ったままドメイン変更するためにも、以下の点を意識しましょう。
リダイレクトの解除タイミングを適切に
リダイレクトはいつまで設定し続ければよいのか、という疑問もあるでしょう。301リダイレクトの場合は、できればずっとしておいたほうがよいです。Googleや今までのサイト訪問者が新しいサイトを認識するまで、少し時間がかかるためです。
リダイレクト設定はし続けても不利益はないので、可能であればそのままにしておいたほうがよいですが、古いサイトをいつまでも残しておきたくないという場合もあるでしょう。その場合は、1年は301リダイレクトを設置しておくことを推奨します。
質の低いページはリダイレクトしない
リダイレクトは基本的にすべてのページをおこなったほうがよいですが、質の低いページは外した方がよいです。質の低いページをリダイレクトしてしまうと、その評価まで新しいサイトに引き継いでしまいます。新しいサイトの評価を下げないためにも、リダイレクトの際には古いサイトの各ページの評価を確認しておくとよいでしょう。
HTTPS化も一緒におこなう
古いサイトがHTTPS化していなければ、新しいドメインに変更するタイミングでHTTPS化もするとよいです。
httpsページとは、SSLの暗号化通信に対応しているページのことで、セキュリティを高めることができます。データを暗号化してやりとりするので、情報の流出を防止できるのです。https化はGoogleからも推奨されていることで、https化されていないページはアクセス時に「このサイトへの接続は保護されていません」という警告文が表示され、訪問者によい印象を与えません。https化は積極的におこないましょう。
Webサイトのhttps化については下記の記事でも解説しています。
SNSのシェアカウントは引き継げない
SNSを使った戦略をおこなっている場合は、ドメイン変更を慎重におこなったほうがよいかもしれません。301リダイレクトではページの評価は引き継げますが、SNSのシェアカウントは引き継げません。新サイトに移行するとカウントがゼロになってしまうので、その影響を受ける可能性があるのです。
ドメイン変更後に確認すること
ドメインを変更したら、次の2点の確認をおこないましょう。
- リダイレクト先に間違いがないか
- 解析ツールが正しく機能しているか
特に外部の解析ツールを使っている場合は、設定忘れなども多いです。テストなどをおこない、正しく移行できているかをチェックしましょう。
ドメイン変更後に流入数が減った場合の対処法
ドメインを変更した結果、流入数が減ってしまうことがあります。ただし、変更直後は流入数が減ったものの、徐々に回復するケースもあります。一旦様子見をするという手段をとってもよいでしょう。
しばらく待ってみても回復しない場合、次の点を確認してみてください。
- リダイレクト設定ミスがないか(301ではなく302が設定されていた等)
- 流入数の高いページが適切にリダイレクトされているか
- 新しいドメイン先のサイトの質が低くなっていないか
- SEO技術は最適化されているか
これらに問題があれば、そこを修正していきましょう。問題がなかった場合は、解析ツールを使って流入数減少の原因を探していきます。たとえば、「チャネル」「メディア」「デバイス」のどこでアクセスが減少しているのかなどを特定しましょう。
サイトの内部に問題がなければ、外的要因が原因となっている可能性もあります。コアアルゴリズムアップデートが直近になかったかを確認してみてください。ほかにも、時期的な問題もあります。過去のデータなどを見て、特定の時期にトラフィックが減少していないかなどをチェックしましょう。
どうしても流入数が回復しない場合、ドメインをもとに戻すという手段もあります。ただ、まずは上記で紹介した項目をチェックし、流入数が下がった原因を探してみてください。
まとめ
ドメイン変更ですが、誤ったリダイレクト設定などを行ってしまいますと、一気に順位が下落してしまう要因にもなります。
特によく陥りやすいミスが、旧ドメインのどのページにアクセスしても、新ドメインのトップページにリダイレクトされてしまうというケースです。
一見、旧ドメインのどのページにアクセスしても新ドメインのトップページに案内されるので、問題無いようにも感じるのですが、Googleとしては、これは快適な検索体験ではないという考えとなっています。
例えば、旧ドメインの会社概要のページにアクセスして、その企業の住所を調べたいというユーザーが新ドメインのトップページに誘導されたら、そこからまた会社概要のページを探してそのページにアクセスしなければいけないという、たらい回しとまでは言いませんが、検索ユーザーにとって使い勝手の悪い状態を作ってしまっておりますため、Googleからの評価が低くなってしまう可能性がございます。
機会としては、なかなかドメインを変更する機会はないと思いますが、順位に影響を与えやすい作業にもなりますため、慎重に行っていただければと思います。
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