SEOとSEMの違いとは?使用タイミングと使い分け方法・便利ツールを紹介

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2020.02.28

SEOとSEMの違い

SEOやSEMという言葉をなんとなく知っているという人でも、SEOとSEMの違いや詳しい内容は知らないことが多いかと思います。SEOとSEMの違いを教えてほしいと言われたとき、戸惑ってしまうという方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、SEOとSEMについて、何が違うのか、どこが違うのかという点を解説していきます。さらに、SEOとSEMの効果的な使い方についてもわかりやすく解説します。

SEM=SEOは間違い?

SEMもSEOもGoogleやYahoo!などの検索エンジンを利用して行う施策です。そのためSEMとSEOを同じものだと考えている人や、全く違うものだと勘違いしている人も少なくありません。しかし実際にはSEMとSEOは包含関係にあり、同じものではないが全く違うものでもない、という複雑な関係にあります。

SEMの構成要素

SEMは「Search Engine Marketing」の頭文字を取った略称です。サイトへの来訪者や利益を増やすのに、検索エンジンを利用するマーケティング手法です。ここまではSEOと同じように見えますが、SEMにはSEOにない要素として「リスティング広告」という要素があります。

つまり、SEMには大きく分けて「SEO」と「リスティング広告」という二つの要素があり、この二つのことを大きく括って一つの要素として呼ぶ際の呼称として使われている名前が「SEM」なのです。

では、SEMの要素には具体的にどのようなものがあるのでしょうか。次の項目から詳しく解説します。

SEO

「SEO」とは、「Search Engine Optimization」の頭文字を取った略称です。

SEOとは具体的にどのような行動のことを指しているのかというと、サーチエンジンでの検索を通じて、サイトへの訪問者や利益を増やすのに「サイト設計」「サイト内容」「マーケティング」などの面からサイトを改善したり、コンテンツを最新の情報に書き換えたりといった行動のことを全て「SEO」と呼んでいます。

SEOに取り組んだ結果、検索エンジンでの表示順位をあげ、より多くの露出を獲得するのがSEOの狙いです。Webサイトに多くのアクセスを集めたい商用メディアであれば、必須の取り組みといえます。

後述のリスティング広告とは異なり、SEOには直接的な費用はかかりません。しかしリスティング広告と違ってSEOは直接メディアの露出を増やすものではないので、SEOに費用をかけても思った効果を得られないこともある、という点には注意が必要です。特に競合性の高いキーワードの検索順位を上げたい場合は、サイト構築の根本からの見直しなどのかなりの手間と工夫が必要となるでしょう。

リスティング広告

リスティング広告は、検索キーワードに応じて、GoogleやYahoo!を含む検索エンジンの検索結果上に表示される広告のことです。検索連動型広告の例

この広告は、GoogleやYahoo!のユーザーの検索履歴を参照し、ユーザーが興味を持っていると推測できるものに応じた広告が表示されます。そのため、サイトのコンテンツや商品により興味関心を持っているユーザーに直接的にアプローチできるというメリットがあります。

リスティング広告には、大きく分けて3つの種類があります。

検索連動型広告

上の画像の広告は「検索連動型広告」という種類です。その名前の通り、検索結果のワードに関連した広告を上部や右側に表示します。

ディスプレイ広告

検索結果と連動しないリスティング広告もあります。ブログサイトや個人サイトを閲覧した際に、画像広告を何度も見た経験はないでしょうか。サイトのカテゴリーにマッチした内容の広告が表示され、「ディスプレイ広告」と呼ばれています。

リターゲティング広告

さらに、検索結果のcookieを保存して、一度検索したワードに関連する広告を出す「リターゲティング広告」というものもあります。内容が以前検索したワードと関連づいているものである場合はリターゲティング広告と考えてよいでしょう。

 

リスティング広告は広告なので、無料で始めるというわけにはいきません。SEOとは異なり、直接的な費用がかかります。費用は競合性が高いキーワードを狙うと高額になることが多く、さらに広告運用のスキルが必要になります。

しかし、SEOと違い、興味を持っているユーザーに直接広告という形でアプローチできるというのは大きな強みです。

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SEMを使う適切なタイミング

機会損失を防ぎたい時

SEMを使うべき適切なタイミングとしてまず言えるのは、マーケティング機会の損失を最小限に抑えたい時はかなり有効なタイミングであるということです。

同じ広告でも、SNS広告(Facebook、Instagram)の主な対象となるのは「非認知層」や「潜在層」となります。「非認知層」とは「対象となるアイテムを知らない人たち」、「潜在層」とは「既に対象のアイテムを知っていて、きっかけがあれば興味を持ってくれそうな人たち」のことです。

この二つの層へ広告を打つと、少なくとも認知拡大には役立ちます。潜在層の人たちの中にはサイトへ訪問したり、商品を購入してくれたりする人もいるかもしれません。

しかし、対象のアイテムを既に欲しがっている人や、購入したいと思っている人に届くかどうかは運次第というところがあります。

一方リスティング広告で、例えば「エステ 予約 東京 平日」というキーワードでリスティング広告を出せば「平日に東京でエステを受けたいと考えている人」、つまり「顕在層」のユーザーに効果的にアプローチできます。

「エステ 予約 東京 平日」という検索キーワードで検索するのは、「暇だし、どこかリラックスできるところはないかな」と探しているだけの「潜在層」のユーザーではありません。「平日に東京でエステに行くために予約する」という課題(欲求)の解決を検討しているユーザーです。

エステに行きたいという課題(欲求)を持ったユーザーに、その課題(欲求)を解決できるようなリスティング広告を表示できるようにしておき、自社サイトを訪問してもらうことで、機会損失を防ぐことができます。

行動段階に移行させたい時

商品・サービスについて検討段階にあるユーザーは、一度サイトを訪問しても9割が離脱してしまいます。そのため、離脱した後のユーザーに対してさらなるアプローチが必要です。

そこで有効なのが、リスティング広告を用いた「検索広告向けリマーケティング」です。一度サイトを訪問したユーザーが、設定したキーワードで検索を行った時に、検索結果上に広告が表示されます。そして再度サイトを訪問してもらうことで、検討段階から行動段階に移行させることが可能です。リスティング広告はSEOと違い、このような複数回のアプローチもできるという強みを持っています。

SEOとリスティング広告の違い

クリック率

クリック率を伸ばしたい場合、リスティング広告よりもSEOのほうが効果的です。

通常、検索順位上の結果が高ければ高いほど、クリック率は高くなります。しかし、リスティング広告で検索順位の上の方に出ているからといって、クリック率も高いとは限りません。

ユーザーは、リスティング広告で上位表示されているサイトよりも、SEOで通常表示されているサイトの方をクリックしやすいという傾向があります。

実際に、とあるワードを検索したときに検索結果で一位になったサイトのクリック率は、常に上位に表示されているはずのリスティング広告の4倍になるというデータもあります。ユーザーはリスティング広告よりも、通常表示される検索結果を好むからです。

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費用

ではコストパフォーマンスはどうでしょうか。コストパフォーマンスという点でも、SEOのほうがリスティング広告よりも優秀であると言えます。

SEOは無料で始めることができますが、場合によってはサイト設計の見直しや新規コンテンツの作成などに費用がかかってしまうことがあります。しかしSEOなら、一度検索上位に表示してしまえば、コンテンツを定期的に最新の情報に保つなどの他は、ランニングコストはほとんどかかりません。

一方、リスティング広告の場合は、広告費用を払い続ける必要があります。そのため半永久的に広告費用がかかり、SEOよりも費用が高くなるケースが多いです。特に人気の単語や競合性の高い単語で広告を設定すると、費用も高額になりやすい上に競合相手が多いので、費用に見合った宣伝効果が得られなかった、ということも起きてしまいます。

そのため、リスティング広告を出す際は、設定するキーワードをより競合性が低い単語で、より自社サイトの情報を必要としていそうな確度の高いユーザーに届くように工夫する必要があります。

コントロール性

コントロール性とは、「自分で狙った通りの結果に繋がりやすいか」ということです。この点においては、SEOよりもリスティング広告の方が有利です。

リスティング広告では、管理画面から広告や属性、予算や入札額を変更することで、集客したいユーザーを調整できます。さらに、リスティング広告が表示される広告枠内での掲載順位も、ある程度コントロールが可能です。

一方SEOでは、狙ったキーワードで上位表示するためにサイト設計や新規コンテンツの作成をしても、必ず検索結果でサイトが上位になるとは限りません。さらに、一度上位に表示されても、Googleのアルゴリズムアップデートで順位が下がってしまうこともあります。そのため、リスティング広告と比較するとコントロール性は低いです。

即時性

SEOよりもリスティング広告のほうが、コントロール性が高い分即時性も期待することができます。

SEOではまず、コンテンツを作成し、そのコンテンツが検索エンジンに評価されてはじめて上位表示することができます。

検索結果の上位を狙うために工夫することはできますが、それが結果に全て反映されるとは限りません。全て検索エンジンのアルゴリズム次第です。一度上位表示されれば永続性が高いというメリットはあるものの、ユーザーを集客できるようになるまでの具体的な期間もわかりません。

一方リスティング広告では、広告サービスに登録して入金し、広告を入稿して上位表示に必要なクリック単価を設定すればすぐにでも上位表示ができ、ユーザーの集客も可能です。

永続性

永続性という観点ではどうでしょうか。

SEO施策として、ユーザーと検索エンジンに評価されるコンテンツを作成し、上位表示された場合、継続的にユーザーを集客することができます。

検索エンジンのアルゴリズムがアップデートされても、検索エンジン側が規定しているガイドラインに則ったSEO施策を行っていれば、表示順位が大きく下がることは基本的にはありません。

一方、リスティング広告で上位表示している場合は、広告出稿を停止してしまえば、ユーザーを集客することができなくなります。費用さえ払い続ければ永続的に広告は出ますが、一度上位表示すればその後の管理の手間はあまりかからないSEOと比較すると、リスティング広告はランニングコストの面でSEOより負担が大きいと言わざるを得ません。

SEOとリスティングのどちらを使うべき?

短期間で効果を出したいときは?

短期間で効果を求める場合には、リスティング広告を使うのが効果的です。リスティング広告であれば、広告を出稿したその日からユーザーを集客することもできます。さらに、リスティング広告の場合は課金額を一日単位で変更することができるので、一日ごとに表示される順位を入れ替えるということも可能です。

狙いたいキーワードで上位表示している競合サイトが、SEO施策をしっかり行っている大企業で、自社サイトをSEOで上位表示するのが難しい場合にも、リスティング広告の機能を駆使すれば検索結果の上位に広告を表示することが可能です。また、クリスマスやサマーセールなど季節ものの宣伝をしたいという場合にもリスティング広告は非常に有用です。

長期的に継続した効果を出したいときは?

長期的に継続した効果を出したいのであれば、SEOが向いています。SEOには手間と時間がかかりますが、上位表示に成功すれば安定してユーザーを集客可能です。

リスティング広告で1位表示した場合に比べ、SEOによって1位表示した場合では、クリック率が4倍ほど高くなることが知られています。SEOはコントロール性が悪く即時的な効果は期待できませんが、そのかわり長期的かつ大きな効果が期待できます。

2種類のリスティング広告

Yahoo!プロモーション広告

Yahoo! JAPANが提供している広告プラットフォームが「Yahoo!プロモーション広告」です。Yahoo!プロモーション広告には、検索連動型広告の「スポンサードサーチ」とコンテンツ連動型広告の「Yahoo!ディスプレイアドネットワーク(YDN)」があります。

スポンサードサーチでは、Yahoo! JAPANの検索結果だけでなくBingやExciteの検索結果にも広告出稿可能です。

またYahoo!ディスプレイアドネットワークでは、デイリースポーツや毎日新聞を含む大手新聞社のWebサイトや、ブロバイダ系のポータルサイトに広告を出稿できます。

Google 広告

Googleは「Google 広告」という広告プラットフォームを提供しています。Googleの広告プラットフォームのうち、「検索広告」が検索連動型広告です。コンテンツ連動型広告は「Googleディスプレイネットワーク(GDN)」と呼ばれます。

検索広告では、Yahoo! JAPANのスポンサードサーチのように、複数の検索エンジンを利用して広告を出稿することはできず、利用できる検索エンジンはGoogleのみです。

検索広告の出稿先はGoogleとlivedoorやGOOなどの検索パートナーの検索結果ページです。一方、Googleディスプレイネットワーク(GDN)では幅広く広告を出稿できます。YouTubeやモバイルアプリ、ブログなどのGoogle AdSenseを利用しているサイトに出稿可能です。

SEMに便利なツール6選

Google Analytics

Google AnalyticsはGoogleが提供するアクセス解析ツールです。

SEOでユーザーを集客して、コンバーションさせるには、サイトを訪問したユーザーの行動を知る必要があります。Google Analyticsではユーザーの訪問状況や流入経路、行動パターンを知ることができるので、SEOには欠かせません。

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Google Search Console

Google Search Consoleでは、Google検索での自社サイトのパフォーマンスを確認することができます。

Google Analyticsでは、ユーザーがサイトを訪問した後のデータがメインです。一方Google Search Consoleでは、自社サイトが「どの検索ワードで」「どの程度表示され」「どれくらいクリックされた」など、サイトを訪問する前のデータをメインに扱います。

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SEOチェキ!

SEOチェキ!はSEOに役立つ無料ツールです。SEO状況をチェックしたいWebサイトのURLや上位表示したいキーワードを入力すると以下の5つの情報を確認できます。

  • サイトSEO
  • 検索順位
  • キーワード頻出順位
  • 発リンク
  • Whois情報(ドメイン所有者や登録年月日など)

Googleサジェスト

Google検索で検索窓にキーワードを入力した時に、一緒に検索するキーワードを提案してくれる(サジェストされる)機能がGoogle サジェストです。

表示されるキーワードは、主に以下の要素で決まります。

  • 検索ボリューム
  • キーワードに対応するサイトの存在
  • 検索した場所
  • 直前に検索したキーワード

Google サジェストで提案されるキーワードは、その単語と関連しており、なおかつ検索の需要が高いキーワードです。上位表示を狙っているキーワードとサジェストに出てくるキーワードを併せてSEOをすることで、より効率的にユーザーを集客できます。

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Keyword Mania

Google AnalyticsやGoogle Search Consoleで、サイトに訪問したユーザーがどの検索ワードでサイトに訪問したのかを確認すると、「not provided」と表示されることが2013年頃から増えました。SSL通信による暗号化が原因です。

しかしKeyword Maniaを使用すると、Google AnalyticsやGoogle Search Consoleでは「not provided」となってしまう検索ワードを確認できます。どのような検索ワードでユーザーがサイトに訪問しているのか、より詳細にわかれば、SEO施策を強化すべきキーワードや、SEO施策を特に強化しなくてもよいキーワードを見つけることが可能です。

GRC

GRCはSEOの検索順位チェックツールです。

Google・Yahoo!・Bingの3つの検索エンジンの検索順位が確認できるうえ、複数のサイトや複数の検索語を登録しておけば、ボタン1つで検索順位を確認できます。ただしMacでは利用できません。

SimilarWeb

SimilarWebは他人のサイトのアクセス解析を可能にするツールです。

  • 似たサイト
  • 世界ランク
  • 日本ランク
  • カテゴリランク
  • トラフィックの推移
  • サイトへの流入元

上記の情報を確認できるので、SEOの競合分析に役立ちます。ただしSimilarWebはアクセス解析コードを使用していないので、必ずしも信用できる結果とは限らないのがデメリットです。参考程度に利用するのが良いでしょう。

まとめ

SEMはSEOとリスティング広告を含む、検索エンジンを利用するマーケティング手法です。SEOはクリック率が高く、費用を抑えることが可能で、永続性が高いというメリットがあり、リスティング広告にはコントロール性と即時性が高いというメリットがあります。

SEOとリスティング広告には、それぞれのメリットとデメリットがあります。どちらか一方だけでも一定の結果を得られることが多いですが、それぞれの長所を理解した上で併用するとより効果を発揮します。SEOに行き詰まりを感じたときは、是非リスティング広告の導入もあわせて検討してみてください。

 

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