Googleがページエクスペリエンスシグナル導入を延期!検索順位への影響と対策
2021.04.29
Googleが新たなランキング要因として告知していた「ページエクスペリエンスシグナル」の導入時期を、2021年5月から6月中旬に延期しました。本記事では、ページエクスペリエンスシグナルの概要・指標の特徴・検索順位への影響・対策方法などを解説します。
Googleがページエクスペリエンスの導入時期を延期!
2020年11月10 日、Googleから検索ランキング要因に「ページエクスペリエンスシグナル」を導入する予定だと、公式サイトで事前告知を行いました。
本日、ページ エクスペリエンス シグナルを導入したランキングを 2021 年 5 月にリリースすることを発表いたします。新しいページ エクスペリエンス シグナルは、ウェブに関する主な指標と既存の検索シグナル(モバイル フレンドリー、セーフ ブラウジング、HTTPS セキュリティ、煩わしいインタースティシャルに関するガイドラインなど)を組み合わせたものです。
引用:Google検索セントラルブログ
しかし、当初5月に予定されていた導入時期が延期され、2021年6月中旬から段階的にアップデートを開始すると、2020年4月19日に追加アナウンスを行っています。
2021年6月中旬より、ランキング システムの一部としてページ エクスペリエンスの使用を開始します。ただし、ページ エクスペリエンスは、8 月末までランキング システムの一部として組み込まれ、完全に置き換えられるわけではありません。これは、調理中の料理にフレーバーを追加していくかのように考えることができます。すべてのフレーバーを一度に追加するのではなく、この期間にわたって徐々に追加していきます。
引用:Google検索セントラルブログ
また同アナウンスでは、ページ エクスペリエンスシグナルが検索ランキング要因として完全に組み込まれる時期は8月末を想定しているものの、大幅な順位変動は発生しない見通しだと述べています。
ページエクスペリエンスとは?
ページエクスペリエンスシグナルについて解説する前に、ページエクスペリエンスに関するGoogleの見解を確認しておきましょう。
ページ エクスペリエンスとは、ユーザーがウェブページで操作を行った際の、情報そのものの価値以外に関するエクスペリエンスの尺度となるシグナルのセットです。これには、ウェブに関する主な指標(ページの読み込みパフォーマンス、インタラクティブ性、視覚的安定性に関する実際のユーザー エクスペリエンスを測定する指標のセット)が含まれます。また、モバイル フレンドリー、セーフ ブラウジング、HTTPS、煩わしいインタースティシャルに関するガイドラインといった既存の検索シグナルも、これに含まれます。
引用:Google検索セントラルブログ
要約すると、「ページエクスペリエンス=ユーザー体験」であり、閲覧者にとって快適性・利便性・安定性・安全性の全てを備えたコンテンツ作りが求められているのです。
ページエクスペリエンスシグナルとは?
ページエクスペリエンスシグナル(Page experience signals)とは、Googleがユーザー体験の良し悪しを測る判断材料として採用している指標です。
ページエクスペリエンスシグナルは、下記の4種類で構成されています。
▼ページエクスペリエンスシグナルの構成
- モバイルフレンドリー
- セーフブラウジング
- HTTPSセキュリティ
- インタースティシャルガイドライン
厳密に言うと、今後は上記に「Core Web Vitals」を加えた5つの指標が、少なからず検索結果のランキングに影響を与えると考えられます。
とはいえ、Googleは今までページエクスペリエンスシグナルを軽視していた訳ではありません。
Googleは常々、ページエクスペリエンスの重要性について言及していました。
優れた利便性を発揮するモバイルデバイスへの最適化、安全性の高いHTTPS配信などもページエクスペリエンスシグナルにあたります。
言い換えれば、上記の4種類はGoogleが新しく発表した指標ではなく、むしろ「既存のシグナル」という位置づけなのです。
Core Web Vitals(コアウェブバイタル)とは?
Core Web Vitalsとは、Googleが検索ランキング要因として追加を告知しているページエクスペリエンスシグナルの1種です。
「ページの使いやすさ」にフォーカスしているのが特徴で、3つの指標で構成されています。
▼Core Web Vitalsの指標
- LCP(Largest Contentful Paint):ページの表示速度を測る指標
- FID(First Input Delay):タップなど、ユーザーが応答するまでの時間を測る指標
- CLS (Cumulative Layout Shift):視覚の安定性を測る指標
ユーザビリティの優越を数値で表すことで、ユーザー体験の向上に繋がるコンテンツ作りに役立てるのが目的です。
MFI(モバイルファーストインデックス)と評価ポイントが重複しているため、SEO対策として非常に重視されています。
なお、Core Web Vitalsについては下記の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にして下さい。
ページエクスペリエンスシグナルの指標4つ
ここからは、ページエクスペリエンスシグナルを構成している4つの指標について、詳しく見ていきましょう。
モバイルフレンドリー
モバイルフレンドリーとは、PCよりも画面サイズが小さいスマートフォンやタブレットでも、ユーザーがストレスなく快適にWebサイトの閲覧・操作ができる「モバイル最適化」を指しています。
Googleはモバイルフレンドリーを2015年4月から検索ランキング要因として採用していますので、すでに鉄板のSEO対策として認知されている指標です。
しかし、今後はよりモバイルフレンドリーが重要に!Googleは2021年3月末にモバイルファーストインデックス)の強制移行を告知しており、検索順位に大きく影響する可能性があります。
「モバイルフレンドリー=SEOの必須課題」と思っておいた方が良いでしょう。
ちなみに、モバイルフレンドリーなどスマホのUI(ユーザーインターフェイス)やUX(ユーザーエクスペリエンス)については、下記の記事でも詳しく解説しております。
セーフブラウジング
セーフブラウジングとは、Googleがユーザーを有害サイトから保護する目的で構築したセキュリティシステムの一種です。
ユーザーが安全ではないページにアクセスしようとすると、ポップアップで警告表示される仕組みになっています。
▼セーフブラウジングの対象Webサイト
- マルウェアなど、不正ソフトのインストールを誘導している
- IDやパスワードを不正に入手しようと、正規サイトになりすましているフィッシングサイト
- 有料とは知らせずに、高額ダウンロードを誘導している不正サイト
Googleに危険・悪意・虚偽に該当するページだと判断された場合、検索順位が急激に低下するのはもちろんペナルティの対象になってしまいます。
HTTPSセキュリティ
HTTPS(HTTP over SSL/TLS)とは、2016年11月からGoogleが検索順位の決定要素として用いているhttpの暗号化技術です。
住所や生年月日といった個人情報が第三者に傍受されないよう、秘匿性の高い情報を安全にやり取りするのが目的。
HTTPよりも安全性の高いHTTPSのドメインを取得することで、よりSEO評価がアップしランキング上位に表示される確率が高まります。
特に下記のようなWebサイトには、HTTPSドメインが必須です。
▼HTTPSドメインが必須のサイト
- ECサイト
- インターネットバンキングを使うサイト
- メールフォームを設けているサイト
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煩わしいインタースティシャルがない
インタースティシャルとは、閲覧目的でアクセスしたユーザーの意思を阻害するほどの過剰な広告表示を指しています。
ユーザーに不快感を与えない、または画面の一部に小さく表示されるならともかく、下記のよう広告インタースティシャルと見なされて検索ランキングが著しく低下してしまうのです。
▼煩わしいインタースティシャルの一例
- 画面全体に表示されるポップアップ広告
- 独立ページとして表示される広告
目的のページを表示するために「スキップ」や「閉じる」などをタップする必要がある広告、といった方がイメージしやすいかもしれません。
Googleが2017年11月から導入したアルゴリズムによって、インタースティシャルを含んでいるページは「UXに問題がある」と見なされ、ページ単位で規制される仕組みになっています。
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検索ランキングへの影響はどの程度?
Webサイトの運営者や制作に携わっているエンジニアにとって最も気になるのは、「ページエクスペリエンスシグナルがどのくらい検索ランキングに影響するのか?」という点でしょう。
そこで注目したいのが、2021年2月25日にGoogleのダニー・サリヴァン氏(Danny Sullivan)が投稿したツイートです。
同氏はTwitter上で寄せられたユーザーからの質問に回答する形で、ページエクスペリエンスシグナルが検索表示のランキングに与える影響について下記のように言及しています。
上記のツイートを要約し、重要なポイントをピックアップしてみました。
▼検索ランキングに関するコメント
- ページエクスペリエンスが導入されたからと言って、ランキングがスイッチを切り替えるように一晩で大きく変動することはない
- モバイル フレンドリーの導入時と同じく、初期段階の影響は小さいだろう
- 時間が経つほど対応サイトが増え、期導入時よりも重要視される
上記のツイートから、ページエクスペリエンスシグナルが検索順位のランキング要素として導入されるスピードは、段階的かつ緩やかなソフト ローンチで始まると予想されます。
したがって、実際の影響は数カ月かけて状況をリサーチする必要があるものの、検索ランキングへの影響は限定的との見方が多数派です。
ページエクスペリエンスへの対策は?関連性と品質が重要
Googleがユーザー体験を重視しているのは事実ですが、より重要なのはコンテンツの「関連性」と「品質」です。
その根拠となっているアナウンスが、公式サイトに記述されています。
ページ エクスペリエンスは重要ですが、それでも Google は、ページ エクスペリエンスが劣っていても、全体的に価値の高い情報を含むページを上位にランキングするようにしています。つまり、いくらページ エクスペリエンスが優れていても、コンテンツが優れたページを上回ることはありません。ただし、関連性が同程度のページが多数存在する場合の検索ランキングにおいては、このページ エクスペリエンスが一段と重要になります。
引用:Google検索セントラルブログ
仮にコンテンツの質とページエクスペリエンスの指標を100点満点で表した場合、下記の画像のように評価されると考えられます。
従来通り、「いかにユーザーにとって有益な内容が書かれているか」が検索ランキングで上位表示される最も重要な要因であることに代わりはありません。
まとめ
ページエクスペリエンスシグナルがランキング要因に導入されるからと言って、短期的かつ急激に検索順位が大きく変動する可能性が低いでしょう。
とはいえ、アップデートを重ねるにつれてページエクスペリエンスシグナルが重視され、徐々にランキングへの影響が増していくと考えるのが妥当です。
まずは、Googleが提示している4つのページエクスペリエンスシグナルに対し、ベストプラクティスを目指しましょう。
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