2021年に導入予定のCore Web Vitals(コアウェブバイタル)がもたらすGoogle検索結果への影響は?
2020.06.29
2020年5月28日、Googleは2021年から検索ランキングを評価する際、既存のシグナルにUX指標となるCore Web Vitals(コアウェブバイタル)を追加すると発表しました。そこで本記事では、Core Web Vitalsの概要をはじめ、構成要素となっている「LCP」「FID」「CLS」という3つの評価基準について詳しく解説します。
2020年5月28日Googleがコアウェブバイタルについて発表!
Googleは2020年5月28日、公式サイト上でCore Web Vitals(コアウェブバイタル)について下記のように発表しました。
Core Web Vitalsと既存のページエクスペリエンスのシグナルを組み合わせた新しいシグナルを導入して、Webページでのユーザーエクスペリエンスの品質の全体像を提供します。
引用元:Googleウェブマスターセントラルブログ
つまり、今後は検索ランキングに影響を与えていた既存のシグナルにコアウェブバイタルが追加され、よりユーザー目線に特化したSEO対策が求められると予想されます。
そもそも「Web Vitals」とは?
Googleは公式サイト上で「Web Vitals」について下記のように解説しています。
Web Vitalsは、優れたユーザーエクスペリエンスをウェブ上で提供するために不可欠な高品質の信号に関する統一されたガイダンスを提供するためのGoogleの取り組みです。
引用:GoogleDevelopers
医療用語では脈拍や血圧、呼吸などをバイタルサインと言いますが、これは生命を維持するために不可欠で本質的な要素だと位置づけているからです。つまり、GoogleはWebにおける優れたユーザーエクスペリエンスの提供こそが「本質的で重要な要素」であり、検索ランキングの評価に反映すべきだと主張しているのでしょう。
GoogleのUX指標「コアウェブバイタル」とは?
Core Web Vitals(コアウェブバイタル)とは、Webにおけるユーザー体験の向上を目的としたGoogleのUX指標であり、今後は検索ランキングの要因となる要素です。
ここ数年、Googleでは主に下記の4つのシグナルをランキング要因として重視していました。したがって、今後はコアウェブバイタルを追加した5つのシグナルが検索ランキングの主な評価基準となります。
▼検索ランキングに影響を与える既存のシグナル
- モバイルフレンドリー
- セーフ ブラウジング
- HTTPSセキュリティ
- ページ閲覧を邪魔する侵入型インタースティシャルのなさ
なお、上記シグナルの詳細については下記のコンテンツを参考にして下さい。
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検索ランキングへの影響大!Core Web Vitalsの評価基準3つ!
ユーザーエクスペリエンスの優劣を評価するには、広汎な要素を数値化する必要があります。そこでGoogleではWeb Vitalsの中から特に重要な下記の3つのメトリック(測定基準)をまとめて「Core Web Vitals」と位置づけ、評価対象としています。
▼Core Web Vitalsを構成するメトリック
- LCP(Largest Contentful Paint):読み込み
- FID(First Input Delay):対話性
- CLS (Cumulative Layout Shift):視覚的安定性
ここからは、それぞれの特徴について見ていきましょう。
LCP:最大コンテンツの表示速度を測定する指標
LCPとはLargest Contentful Paintの略語で、ページ内で最も大きなコンテンツが読み込まれるまでの速度を測る指標です。主に下記の4種類が対象ですが、テキストのみで構成されたページであれば見出しが対象となる可能性もあります。
▼コンテンツの種類
- 画像
- 背景画像のある要素
- 動画の初期表示画像
- テキストを含むブロックレベル要素
上記画像の通り、読み込みパフォーマンスの数値は「秒」で表され、結果は3段階のレベルに分けられます。スコアの数値が小さいほど優れたユーザー体験(UX)を提供していると判断されるため、GOODの評価を得るにはページのローディングが開始してから2.5秒以内に最大要素が表示されなければなりません。
FID:ユーザー操作に対する反応性を測定する指標
FIDとはFirst Input Delayの略語で、「初回入力遅延」と直訳できる通りユーザーのアクションを受け付けるまでの待機時間を測定する指標です。なお、操作の対象はテキスト入力だけでなくクリックやタップも含まれています。
たとえ表示されていてもアクションに対する反応速度が遅くて待たされるようなインタラクティブ性が低いサイトは、ユーザーにストレスを与えないよう改善が必要です。なお、最も理想的なGOODの評価を得るには、反応速度のFIDスコアが1/100秒未満でなければなりません。
CLS:意図せぬレイアウトシフトを測定する指標
CLSとはCumulative Layout Shiftの略語で、累積レイアウト変更と直訳できます。具体的に言うと「ユーザーが意図せぬレイアウト移動のずれ」の有無を測定するスコアです。いわゆる視覚要素の安定性が求められるため、下記のようなNG例が含まれているコンテンツは低評価となります。
▼レイアウトシフトの低評価ポイント
- 画像や広告が遅れて表示され、読もうと思っていたテキストが下方へずれた
- 急に出現した画像によってボタンの位置がずれ、興味のない広告をタップしてしまった
ちなみに、CLSについてはgoogleの開発者向け公式サイト「web.dev」にて動画や比較画像が公開されていますので参考にしてみましょう。なお、動画は英語ですが比較画像は日本語への翻訳が可能です。
Core Web Vitalsの評価を確認する方法!最適化ツール6つ
コアウェブバイタルの評価を確認する方法として、下記の6種類が挙げられます。
▼最適化ツール6つ
- Search Consoleのスピードレポート
- PageSpeed Insights
- Chrome ユーザーエクスペリエンスレポート(CrUX)
- Chrome デベロッパーツール
- Chrome拡張機能(Web Vitals)
- Lighthouse
ここからは、GoogleがCore Web Vitalsを最適化させるための支援ツールと謳っている「サーチコンソール」と「ページスピード インサイツ」について見てみましょう。なお、Core Web Vitalsに関するスコアはサイト全体ではなく、ページごとにチェックする必要があります。
Search Console
サーチコンソールにアクセスしたら、左サイドメニューにある「ウェブに関する主な指標」をクリックしましょう。コアウェブバイタルに関するLCP/FID/CLSの3指標に対し、「良好」「改善が必要」「不良」の3段階で判定結果が表示されます。PC版とモバイル版、それぞれ個別に確認しておきましょう。
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PageSpeed Insights
ページスピード インサイツの強みは、2種類の評価スコアが取得できるという点でしょう。
▼データの違い
- フィールドデータ:CrUX レポートを基にしたリアルデータで、判定まで時間がかかる
- ラボデータ:シミュレーション結果で結果判定が早い
フィールドデータの判定に時間がかかるのは、一定数のアクセスが溜まるまで結果が出ないから。LCP/FID/CLSそれぞれのレポートが排出される仕様に改善されたのも、コアウェブバイタルの導入に備えているからでしょう。
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導入時期は2021年の予定!Web担当者が今からできる対策は?
まずは、2020年5月28日にGoogleの公式サイトで事前告知されたアナウンス文を見てみましょう。
タイミングに関する注意:多くのサイト所有者がCOVID-19の影響への対応に重点的に取り組んでいることを認めています。この投稿で説明されているランキングの変更は来年までは行われず、公開される前に少なくとも6か月前に通知されます。開始するためのツールを提供しています(サイトの所有者は常にランキングの変更についてできるだけ早く知ることを求めているため)。ただちに対策を講じる必要はありません。
引用元:Googleウェブマスターセントラルブログ
コアウェブバイタルがランキング指標として用いられるのは2021年からで、スタートする半年前には事前告知がアナウンスされるそうです。今後コアウェブバイタルは重要なランキング要因になるものの、現段階でWeb担当者にできる具体的な対策は発表されていません。そのため、実際にタートする半年前に予定しているアナウンスを待った方が無難という意見もあります。どちらにせよ、必要な具体策は事前アナウンスで言及されるはずです。
まとめ
Core Web Vitalsが検索ランキングの評価対象として導入されるのは2021年からなので、今すぐ具体的な対策を講じる必要はありません。とはいえ、UXが現段階でも重要なSEO要素であることは事実。ユーザビリティがSEOに与える影響を考えると、今からコアウェブバイタルの最適化に取り組んでおいても損はないはずです。
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