ポップアップの設置は損か得か|ポップアップのSEO効果について
2019.04.12
近年イメージが悪くなりつつあるポップアップですが、実際のところ、ポップアップはサイトを運営するにあたってよい影響を及ぼすのでしょうか、悪い影響を及ぼすのでしょうか。この記事では、ポップアップを設置することのメリットとデメリットを解説していきます。
ポップアップとは?
まずは簡単にポップアップについて解説いたします。
ポップアップは、Webブラウザ上で自動的に別のウインドウが立ち上がる仕組みのことです。主に、重要なメッセージを表示したり広告を表示させたりするのに使われています。
別のウインドウを立ち上げず、同じウインドウの中にかぶせるようにして別の情報を表示させることは「オーバーレイ」と言います。厳密にはポップアップとオーバーレイは違うものですが、サイト運営におけるメリットとデメリットを考える上では、似たものと捉えてよいでしょう。
ポップアップを設置することのメリット
それでは、ポップアップを設置することのメリットを見ていきましょう。
ワンクッションを置くことで、ユーザーを選定できる
ポップアップを使って年齢確認や会員専用のログインダイアログ等を表示させることで、そのページを、見せたいユーザーだけに見せることができるようになります。
例えば、酒類の販売サイトや、アダルトコンテンツを配信するサイトでは、年齢確認が必要不可欠になってきます。しかしながら、20歳以上のユーザー(もしくは18歳以上のユーザー)のみを入場させるためのエントランスページを設けるだけでは不十分です。
なぜなら、検索の仕方によってはエントランスページを飛び越えて、コンテンツのページを直接閲覧されてしまう可能性があるからです。そこで、コンテンツが表示されるページにポップアップを設置することによって、ほぼ確実に年齢確認を表示させる必要がでてきます。
また、有料会員など、特定のユーザーにのみ見せたいページについても、ポップアップは有効です。ポップアップを使ってログインダイアログを表示させることで、特定のユーザーのみにページの閲覧を許可することができるようになります。年齢確認と同じように、エントランスページを設置するよりも確実にユーザーを選定することが可能です。
広告として使用することで、収益を得ることができる
ポップアップの使い方として、広告として利用するというものがあります。ただし、使い方によってはメリットよりもデメリットに傾くことがあるので注意しましょう。(詳しくは「ポップアップを設置することのデメリット」にて説明します)
広告として使用する場合は、主に二つのタイプに分かれます。会員登録に誘導するタイプと、クリック報酬や成果報酬のために設置するタイプです。
ポップアップを使った会員登録や商品購入への誘導は、テレビCMやDMと同じ効果を持つと考えてよいでしょう。不特定多数のユーザーに広告を表示することによって、その広告を見た数パーセントのユーザーからの利益を得ることを目的とします。テレビCMやチラシ、通販カタログに比べれば、広告費や印刷費が少なく済むので、ローコストに抑えることができます。
クリック報酬型の広告や成果報酬型(実際に会員登録や購入をしてもらうことで報酬を得る広告)の広告をポップアップで設置することによって利益を得るという方法もあります。目を引く画像やキャッチコピーと共に設置したり、ミスタップを狙った設置の仕方をしたりすることによって利益を増やすことができます。
しかし、過剰にしてしまうとかえってサイト運営においてマイナスに働いてしまうことがあるので、この方法をとる場合は十分にそのリスクを理解したうえで行う必要があります。
ポップアップを設置することのデメリット
続いて、ポップアップを設置することのデメリットを見ていきましょう。
イメージ低下に繋がる
年齢確認や会員ログインのために使用されたポップアップについては、ユーザーはあまり気にならないでしょう。しかし、広告として使われたポップアップに対してはよくない印象を抱かれることが多いです。例えば、検索エンジンにて検索したいキーワードを入力すると、一緒に検索されることが多いキーワードがいくつか表示されますが、「ポップアップ広告」と入力すると「消したい」や「邪魔」といったマイナスの意味をもつキーワードが表示されます。
また、ポップアップ広告をブロックするアプリも流行っています。それくらいに、ポップアップ広告はわずらわしい印象を抱かれてしまっているのです。ポップアップによる広告の設置は、サイトのイメージを大きく下げる可能性が高くなるといってよいでしょう。
広告の鬱陶しさにサイトの訪問者数が減ってしまっては、結果的に広告のクリック数や成果達成数は下がってしまいます。また、サイトの訪問者数が減るばかりではなく、サイト運営者そのものへ悪い印象を抱かれてしまうこともあるので、ポップアップによる広告の導入は慎重に検討したほうがよいでしょう。
SEOに悪影響を与える
ポップアップはGoogleからも悪い評価を下されることが明らかになっています。
2017年1月11日のGoogleのアルゴリズム更新にて、ユーザーがモバイル検索結果からコンテンツにアクセスしにくいサイトは、SEO評価が下げられるようになりました。つまり、ユーザーがスマートフォンから閲覧した際にストレスを与えてしまうモバイル向けサイトは、検索順位が低下する恐れがあるということです。
モバイルユーザーがコンテンツにアクセスしにくいサイトの例として、「サイトに訪問した直後や閲覧している最中に、コンテンツを覆うようにしてインタースティシャル広告(ポップアップ広告やオーバーレイ広告の総称)が表示されるサイト」や「インタースティシャル広告を閉じなければコンテンツを閲覧できないサイト」、「広告がトップに大きく表示されており、スクロールしなければコンテンツにたどり着けないサイト」等が挙げられています。過度な広告は、SEOの観点から見ると、設置しないほうがよいと言えるでしょう。
また、ポップアップ広告が使用されたサイトは、「ユーザーがコンテンツにアクセスしにくい」という理由のほかにも、「サイトのコンテンツが正式な評価を受けられない」という理由からSEO評価が低下する可能性があります。クローラーがメインコンテンツではなくポップアップの内容を重視してしまい、正式な評価ができない可能性もあるとされているのです。
しかし、全てのポップアップが悪い評価を下されるわけではありません。
「Googleウェブマスター公式ブログ」にて公表されていますが、簡単に閉じることができる妥当なサイズのものや、「ポップアップを設置することのメリット」でも紹介した「年齢制限」や「会員のログインダイアログ」等の法律上の必要性に基づいているものについては、SEO評価が下げられることはありません。
Googleのアルゴリズムは、ユーザーが快適にコンテンツにアクセスできるように改善されていっています。今後は、よりユーザーの立場に立ったサイト作りが必要になってくるでしょう。それに則して、ポップアップの設置の仕方も気を付けなければいけないのです。
まとめ
ポップアップの設置には、メリットとデメリットがあります。最終的には、ポップアップの設置はサイト運営に置いてプラスになるのでしょうか、マイナスになるのでしょうか。
結論としては、使い方次第というところになります。
目先の利益だけを求めて過剰にポップアップ広告を設置してしまえば、長い目で見るとマイナスの結果をもたらしてしまう可能性が高くなります。しかし、年齢確認や会員ログインダイアログとしては、ポップアップはベターな方法と言えるでしょう。
ポップアップはサイトで収益を得るためのものというよりも、然るべきユーザーにコンテンツを届けるためのツールとして考えるのがよいのかもしれません。
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