Googleアナリティクス4プロパティ(GA4)とは?UAとの違いや導入方法を解説
2023.06.12
Googleアナリティクス4プロパティ(GA4)の導入に二の足を踏んでいませんか?
本記事では、次世代アクセス解析ツールとして早期移行が推奨されているGoogleアナリティクス4プロパティの改良点や導入方法、よくある質問などについて解説します。
そもそもアナリティクスって何?という方は、ぜひ参考にしてください。
Googleアナリティクス4プロパティ(GA4)とは?
Google Analytics 4プロパティ(GA4)とは、2020年10月14日(米国時間)にリリースされた最新版のGoogleアナリティクスです。
2019年に導入されたベータ版の旧称「App+Web Property」が基礎となっており、今後はGA4がデフォルトになるとGoogleから正式にアナウンスされています。
Googleアナリティクスの種類
現時点(2023年)で使用できるGoogleアナリティクス(GA)は、下記の3種類です。
▼Googleアナリティクスの種類
- ユニバーサルアナリティクス(UA):無料版GA
- Googleアナリティクス360(GA360):有料版GA
- Googleアナリティクス4(GA4):UAのバージョンアップ版(無料)
ただし、GoogleはすでにUAとGA360について、サポート終了のスケジュールを発表しています。
現在UAまたはGA360を使用しており、今後もGoogleアナリティクスによるデータ測定を希望される方は、後述する「GA4を導入すべきタイミング」を参考にしてください。
GA4を導入すべきタイミングは?
「無償版GA」および「有料版GA360」のサポート終了時期は下記の通りです。
どちらもサポート終了後は
「無償版GA」および「有料版GA360」からとでは、サポートが終了する
▼GA4への移行期限(サポート終了時期)
- ユニバーサルアナリティクス(UA/無料版GA):2023年7月1日まで
- Googleアナリティクス360(GA360/有料版GA):2024年7月1日
どちらもサポート終了後に「6ヵ月の閲覧期間」が設けられていますが、GoogleはGA4への早期移行を推奨しています。
当サイトではGA4への移行サポートを実施していますので、ご興味のある方は「お問い合わせフォーム」よりご相談下さい。
また、GA4への移行期限については、下記の記事にてイラスト付きで詳しく解説しております。
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UA とGA4の違い!7つのメリットとは?
アップグレードされたGoogleアナリティクス4プロパティ(GA4)は、従来のユニバーサルアナリティクス(UA)と比べて何が進化したのでしょうか?
この段落では、改良されたポイントやメリットについて解説します。
|
UA |
GA4 |
コンセプト |
単発の「結果」を重視 |
「ユーザー行動」を重視 |
複数デバイスの横断計測 |
「デバイスごと」のデータ計測 |
複数デバイス間を往来する「ユーザー行動」 |
データの計測方法 |
セッション単位 |
イベント単位 |
指標の廃止・名称変更・追加 |
細かく分類されている |
一部が廃止・名称変更され、新しい指標が追加 |
レポートのレイアウト |
項目が分類されていないので、分かりにくい |
「確認用」と「分析用」に分類され、シンプルで見やすい |
BigQueryとの連携 |
GA360(有料版)のみ対応 |
無料で利用可能 |
機械学習による予測指標 |
なし |
あり |
コンセプト
最も大きな変更点は、コンセプトの違いです。
これまで重視されていたのは、あくまでコンテンツページに残された単発の「結果」でした。
一方、Googleアナリティクス4プロパティ導入後は、「ユーザーの行動」にスポットを充てた分析が可能になったのです。
▼ユーザー行動ベースで計測するメリット
- 「ユーザーの行動」が正しく把握できるようになった
- 「コンバージョン(CV)の要因」が明確になる
複数デバイスの横断計測
「Webサイトでの行動」と「アプリでの行動」を紐づけて統合的に計測できるようになったのも、Googleアナリティクス4プロパティの大きなメリットです。
▼従来の計測方法
- Webサイトの計測:「Googleアナリティクス」で計測
- アプリの計測:「Firebase Analytics」や「AppsFlyer」などで計測
一方、Googleアナリティクス4プロパティでは、内部に「ウェブストリーム」と「アプリストリーム」の両方が用意されています。
つまり、同一人物が所有するWebサイトとアプリを紐づけることで、「クロスプラットフォーム分析」が可能になったのです。
Youtubeとの連携
従来のユニバーサルアナリティクスとは違い、Googleアナリティクス4プロパティではYoutubeとの連携が可能になりました。
YouTubeのエンゲージメントビューからのコンバージョンは、アプリとウェブそれぞれで発生したデータをレポートに含めることができます。
データの計測方法
ユニバーサルアナリティクスではセッション中心の計測だったのに対し、Googleアナリティクス4プロパティではヒットタイプがイベントに統一されています。
|
UA |
GA4 |
ページビュー |
ページビューとして計測 |
イベントとして計測 |
イベント |
イベントとして計測 |
イベントとして計測 |
Eコマース |
Eコマースとして計測 |
イベントとして計測 |
カスタムディメンション |
カスタムディメンションとして計測 |
ヒット単位:イベントとして計測
ユーザー単位:ユーザープロパティとして計測 |
GA4のイベントは大きく4種類に分かれており、Webとアプリの横断解析も可能です。
カスタムイベントを除く3種類については、Google アナリティクス 4プロパティのヘルプページにて対象イベントの種類が掲載されています。
▼イベントの種類と特徴
- 自動的に収集されるイベント:GT4のタグ(js)またはFirebase SDKの設置が必要
- 測定機能の強化:Webデータ ストリームのみが対象
- 推奨イベント:Webサイトやアプリに自身で実装が必要
- カスタムイベント:管理画面からイベントを作成・編集する、またはGTMを利用
なお、GA4ではイベントごとに「複数のパラメータ」が付与できるようになりました。
ビューの廃止とデータストリームの追加
Googleアナリティクス4プロパティでは「ビュー」が廃止され、新たに「データストリーム」が追加されました。
▼データストリームの種類とデータ収集の方法
- Web:「GTM」または「js」で、新計測IDをWebサイトへ追加
- iOS:Firebase SDKと連携
- Android:iOSと同じ
これにより、わざわざGoogle タグマネージャーでタグ設定を行わなくても、Webとアプリの両方に対して「スクロール数」などのイベントが自動計測されるようになりました。
指標の廃止・名称変更・追加
ユーザー行動にフォーカスしているGA4と従来のUAとでは、根本的なデータ測定の方法が異なります。
これに伴い、UAにあった指標の大半が廃止され、名称も変更されました。
UA |
GA |
セッション |
廃止 |
直帰率 |
廃止 |
離脱率 |
廃止 |
コンバージョン率 |
廃止 |
ランディングページ |
リンク先ページ |
PV |
表示回数 |
新規ユーザー |
新しいユーザー |
平均ページ滞在時間 |
平均エンゲージメント時間 |
目標完了数 |
コンバージョン |
加えて、GA4では新たに次の指標が追加されています。
追加された指標 |
詳細 |
エンゲージメントされたセッション数 |
下記の1つでも満たした場合にカウント(デフォルト)
・10秒以上、サイトに滞在したセッション
・コンバージョンが発生したセッション
・2回以上のスクリーンビュー、またはページビューが発生したセッション |
エンゲージメント率 |
エンゲージメント総数 ÷ インプレッション総数×100 |
scfoll |
ページが90%までスクロールされた回数 |
click |
対象外のリンクがクリックされた回数 |
なお、エンゲージメントとは「閲覧者が行ったアクション」、つまり「サイトにとって有益なユーザー行動」を指しています。
レポートのレイアウト
レポートの様式がUAよりもシンプルで見やすくなったのも、GA4の大きなメリットです。
UAではサイドメニューが10項目もあったうえ、分類されていないのが難点でした。
一方、GA4ではニーズの高い6項目に簡略化され、レポートが「集計用」と「分析用」に分類されているなど、使い勝手の良い仕様に改良されています。
BigQueryとの連携
GA360(有料版)のみが対象だった「BigQuery」が、Googleアナリティクス4プロパティでは無料で利用できるようになりました。
GA4に標準搭載されたBigQueryによって、下記のようなメリットが得られます。
▼BigQueryのメリット
- BIツールでの分析やデータの可視化
- セールスや顧客サポートへの活用
- 広告配信へのデータ活用
- ダッシュボードでの共有
機械学習による予測指標
GA4に導入された「機械学習」とは、「AI学習」とも呼ばれている通りAI(人工知能)の働きの1つです。
GoogleはGA4に導入した機械学習の効果について下記のように解説しています。
Googleの高度な機械学習モデルを適用することで、新しいアナリティクスは、データの重要な傾向を自動的に警告できます。たとえば、新しい顧客のニーズのために需要が高まっている製品などです。それはあなたがあなたの顧客がとるかもしれない将来の行動を予測するのを助けさえします。たとえば、解約確率を計算するため、マーケティング予算が圧迫されているときに顧客を維持するためにより効率的に投資できます。特定の顧客グループから得られる可能性のある収益など、新しい予測指標を追加し続けています。これにより、オーディエンスを作成してより価値の高い顧客にリーチし、分析を実行して、一部の顧客が他の顧客よりも多くを費やす可能性がある理由をよりよく理解できるため、結果を改善するためのアクションを実行できます。
出典:Google Marketing Platform
つまり、収集したデータを機械学習で分析することで、「将来、顧客が起こすであろう行動」を予測できるようになったのです。
▼予測指標の一例
- 今後7日以内にサービスを利用する確率
- 今後7日以内で離脱する確率
- 購買する確率が高いユーザーの傾向
機械学習の予測指標を利用するための条件
Googleアナリティクス4プロパティに導入された機械学習の予測指標を利用するには、3つの条件を満たしていなければなりません。
・購入ユーザーまたは離脱ユーザーのポジティブ サンプルとネガティブ サンプルの最小数。要件として、関連する予測条件をトリガーしているユーザーが 1,000 人、トリガーしていないユーザーが 1,000 人いることが必要になります。
・モデルの品質が一定期間維持されていることが要件になります。
・購入の可能性と離脱の可能性の両方を対象とするには、プロパティは purchase と in_app_purchase の少なくともどちらか一方のイベント(自動的に収集される)を送信する必要があります。
出典:Google アナリティクス 4プロパティのヘルプページ
自動インサイトの実装と通知
Googleアナリティクス4プロパティに導入された機械学習によって、自動インサイトが実装されました。
GA4導入後に下記のようなシグナルが検知されると、自動的にダッシュボード上で通知されます。
▼自動インサイトの通知例
- 集計データ上で異常な変化を検知した時
- 新たな傾向が検出された時
GA4の導入方法
使用中のUAとGA4は、別プロパティで管理しなければなりません。
この段落では、これまで集積したデータが影響を受けないように、旧アナリティクス(UA)のプロパティを残したまま、新たにGA4用のプロパティを作成する方法をご紹介していきます。
▼GA4を導入する手順
- GA4の新規プロパティを作成する
- データストリームの設定
- Googleタグマネージャーの設定を追加
①GA4の新規プロパティを作成する
左下の歯車マークから設定画面を開き、上部中央の「プロパティを作成」をクリックします。
任意のプロパティ名を入力し、タイムゾーン・通貨・ビジネスの概要を指定して「次へ」をクリックします。
②データストリームの設定
「データストリーム」の設定画面が表示されますので、今回は「ウェブ」を選択します。
サイトのURLと任意のストリーム名を入力し、アクティブになった「ストリームを作成」ボタンをクリックします。
右上にGから始まる「測定ID」が表示されたら、アナリティクス側の設定は完了です。
③Googleタグマネージャーの設定を追加
タグマネージャーの管理画面にアクセスし、GTMのタグ追加から「Googleアナリティクス:GA4設定」を選択します。
「タグの設定」画面に切り替わったら、「測定ID」という項目が表示されるはずです。
ここに、GA4側の管理画面(データストリームの設定画面)に表示されている「G-***」という測定IDをコピペし、トリガーとして「All Pages」を選択します。
アクティブになった右上の「保存」をクリックし、最後に「公開」ボタンを押して完了です。
【Q&A】GA4のよくある質問
最後に、GA4に関するよくある質問をQ&A形式でご紹介します。
▼GA4のよくある質問
- GA4プロパティ作成後の初期設定は?
- GA4で特定IPを除外する方法は?
- GA4と連携できるツールは?
- UAのデータをGA4へ移管できる?
- UAとGA4のデータは単純に比較できる?
GA4プロパティ作成後の初期設定は?
主な初期設定は下記の6種類です。
▼GA4プロパティの初期設定
- データ保持期間を、最長の「14ヵ月」へ変更
- 関係者IPの計測除外
- クロスドメイン設定
- 計測したいイベントの設定
- コンバージョン設定
- GoogleSingalをオン
このほか、Google サーチコンソールとの連携も済ませておいた方が良いでしょう。
GA4で特定IPを除外する方法は?
より正確なデータを計測するには、第三者からのアクセスだけを対象にすべきです。
あらかじめ、運営者や管理者のIPを除外できるよう設定しておきましょう。
▼特定IPを除外する手順
- 管理メニューから「データストリーム」にアクセスする
- 「タグ付けの詳細設定」の画面へ移動する
- 「内部トラフィックの定義」を選択する
- 「ルールの作成」に除外したいIPアドレスを入力する
GA4と連携できるツールは?
GA4と連携できる主なツールは、下記の通りです。
- Search Console
- Google 広告
- アド マネージャー
- 検索広告360
- ディスプレイ&ビデオ360
- Merchant Center
- Big Query
- Youtube
UAのデータをGA4へ移管できる?
残念ながら、2023年6月の時点ではUAのデータをGA4へ移管することはできません。
重要度の高いUAのデータは、あらかじめエクスポートしておいた方が良いでしょう。
UAとGA4のデータは単純に比較できる?
結論から言うと、UAとGA4とで計測単位が異なるため単純にデータを比較することはできません。
UAはセッション単位で計測されていましたが、GA4では発生したイベント単位で計測されるため、どうしても結果が乖離してしまうのです。
結果の乖離がどの程度なのか、少なくとも1ヵ月はUAとGA4を併用して比較してみましょう。
まとめ
Googleがアナウンスしている通り、今後はGoogleアナリティクス4プロパティがアクセス解析の主軸になります。
デバイスの選択肢が増えている以上、ユーザー行動に特化したアクセス解析の必要性に疑う余地はありません。
何より、ほとんどのサイト運営者が導入している無料版のアナリティクスは、2023年7月1日をもってサポートが終了し、一部の機能を除き使えなくなります。
まだGA4を導入していない方は、1日でも早く対策を講じた方が良いでしょう。
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