カスタマージャーニーマップとは?目的と作り方を6ステップ解説

Webマーケティング
2026.09.15

※本記事は2026年09月時点の情報に基づいています。

カスタマージャーニーマップとは、顧客が商品やサービスを認知してから購入・利用に至るまでの「行動・思考・感情」を時系列で可視化した図表です。目的は、顧客体験(CX)を組織全体で共有し、最適な施策のタイミングと接点を見極めることにあります。

この記事の要点

  • カスタマージャーニーマップは、顧客の購買プロセスを「時系列の横軸」と「行動・思考・感情・タッチポイントの縦軸」で整理した可視化ツールです。
  • 作成の目的は、部署横断で顧客理解の共通認識を持ち、施策の抜け漏れや機会損失を防ぐことにあります。
  • 作り方の第一歩はペルソナ設定であり、定量データと定性データの両方を根拠にすることが精度を左右します。
  • 企業の希望や憶測だけで作ると失敗するため、実際の顧客データやインタビューに基づく必要があります。
  • 生成AIやMiro・HubSpotなどのツールを使えば、インサイト抽出やマップ作成を大幅に効率化できます。

カスタマージャーニーマップとは?意味と定義をわかりやすく解説

カスタマージャーニーマップとは?作成する目的 作り方

カスタマージャーニーマップとは、顧客が商品やサービスを認知してから購入するまでの行動・思考・感情を時系列に表したものです。顧客の一連の体験を「旅(ジャーニー)」に見立てて地図(マップ)化したものと考えると分かりやすいでしょう。

まず前提となるカスタマージャーニーとは、顧客が商品を認知してから購入、利用に至るまでの行動・思考・感情のプロセスそのものを指します。この目に見えないプロセスを、時系列に沿って図や表にまとめて誰でも共有できる状態にしたものが「カスタマージャーニーマップ」です。

ポイントは、単なる購買プロセスのフロー図ではないという点です。「顧客がその瞬間に何を考え、どんな感情を抱いていたか」という内面まで含めて可視化するのが、カスタマージャーニーマップの本質です。この内面の理解こそが、顧客体験(CX:Customer Experience)を改善するための出発点になります。

たとえば、あるユーザーが検索エンジンで悩みを調べ、比較記事を読み、資料請求し、最終的に契約する——という一連の流れの中で、「どこで不安を感じ」「どこで背中を押されたのか」を明らかにするのがマップの役割です。この視点があるからこそ、単なる導線設計を超えた顧客本位の施策設計が可能になります。

なぜ今カスタマージャーニーマップが必要?公的データで見る背景

結論として、顧客の購買行動がデジタル化・多様化・複雑化した現在、顧客体験を可視化しなければ施策の最適化が難しくなっているためです。この背景は感覚論ではなく、公的統計にはっきり表れています。

まず、スマートフォンの普及によって顧客の情報接点が劇的に増えました。総務省「令和4年版情報通信白書」によれば、日本のスマートフォンの世帯保有率は2010年の9.7%から2021年には88.6%まで上昇しています(出典:総務省「令和4年版情報通信白書」)。顧客は移動中でも寝る前でも、あらゆる瞬間に検索・比較・購入を行うようになりました。

購買チャネルの中心も大きくオンラインへ移っています。経済産業省の電子商取引実態調査によると、2020年度の国内EC市場(物販系)は前年比21.71%増の12兆2,333億円へと拡大しました(出典:経済産業省「電子商取引実態調査」)。米国でも、アドビの調査で2021年のホリデーシーズンにおけるオンライン消費額が前年比8.6%増の2,040億ドルと過去最高を記録しており、オンライン購買の伸長は世界的な潮流です。

一方で、顧客に届けられる情報は爆発的に増えたにもかかわらず、実際に消費される情報はごくわずかです。総務省「平成18年度 情報流通センサス報告書」では、世の中に流れている情報のうち実際に消費されている情報は1%未満と指摘されています。つまり、闇雲に情報を発信しても顧客には届きません。「どの顧客に、どのタイミングで、どんな接点で情報を届けるか」を設計する必要があり、その設計図がカスタマージャーニーマップなのです。

さらに、施策を担う人材の確保も年々難しくなっています。経済産業省「IT人材需給に関する調査」では、2030年には最大約79万人のIT人材が不足すると予測されています(出典:経済産業省「IT人材需給に関する調査」)。限られた人員とコストで成果を出すには、勘に頼らず顧客理解を組織で共有し、施策の優先順位を明確にする仕組みが不可欠です。

カスタマージャーニーマップを作成する目的・メリットは?

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カスタマージャーニーマップを作成する最大の目的は、顧客体験を組織全体で共有し、施策の抜け漏れや機会損失を防ぐことです。マーケティングの成果を「担当者の勘」から「共有された顧客理解」へと転換できます。

具体的なメリットは大きく4つあります。

1. 部署横断で共通認識を持てる
カスタマージャーニーマップ作成の目的の1つは、部署横断でチームの共通認識を持つことです。広告・Web・営業・カスタマーサポートといった部門は、それぞれ異なる顧客像を頭に描きがちです。マップを共有すれば、全部門が同じ顧客像・同じ購買プロセスを前提に動けるようになります。

2. 顧客インサイトを発見できる
時系列で感情の起伏を追うと、顧客自身も気づいていない潜在的な欲求や本音であるインサイトが浮かび上がります。「比較段階で最も不安が高まる」「導入後のフォローがないと不満が募る」といったポイントが見えれば、そこに施策を集中投下できます。

3. 施策の優先順位と費用対効果が明確になる
すべての接点に均等にコストをかける必要はありません。感情が大きく落ち込む「離脱ポイント」に絞って改善すれば、少ない投資で大きな効果が得られます。限られた予算で成果を出したい企業ほど、この費用対効果の高さは見逃せません。

4. LTV向上につながる
カスタマージャーニーは購入で終わりません。購入後の利用・リピート・推奨まで描くことで、一人の顧客が取引開始から終了までに企業にもたらす利益の総額であるLTV(Life Time Value)を最大化する視点が持てます。

実際、カルビーはカスタマージャーニーの手法を活用して「フルーツグラノーラ」の年間売り上げを35億円から143億円へと伸ばした事例を公表しています。顧客の生活シーンや購買動機を丁寧に読み解いたことが、商品訴求の転換につながった好例です。

カスタマージャーニーマップの構成要素は?縦軸と横軸の作り方

カスタマージャーニーマップは、基本的に「横軸=購買プロセス」「縦軸=顧客の状態」で構成されるマトリクス(表)です。この2軸を組み合わせることで、各段階の顧客像が立体的に見えてきます。

横軸には、購入・契約に至るまでの消費者の行動(プロセス)が時系列で配置されます。一般的には次のようなステージに分けます。

以下の表で、横軸に置く代表的な購買プロセスを整理します。

ステージ 顧客の状態
認知 課題やニーズに気づく
情報収集 検索・比較で情報を集める
比較検討 複数の選択肢を検討する
購入・契約 商品やサービスを購入する
利用 実際に使う
継続・推奨 リピート・口コミで広める

縦軸には、タッチポイント、行動、思考、感情などが配置されます。各要素の意味は次のとおりです。

  • タッチポイント:顧客と企業やブランドが接触する接点のこと(Webサイト、SNS、広告、店舗、メールなど)。
  • 行動:そのステージで顧客が実際に取る具体的なアクション。
  • 思考:顧客が頭の中で考えていること・疑問。
  • 感情:期待・不安・満足・不満など感情の起伏。折れ線グラフで表すと山と谷が視覚的に分かります。
  • 課題・施策:企業側が対応すべき課題と、打つべき施策。

この縦軸の中でも特に重要なのが「感情」の行です。感情が谷になっているポイントこそ、顧客が離脱しやすい危険地帯であり、優先的に改善すべき箇所です。行動やタッチポイントだけを埋めて満足せず、必ず感情の起伏まで書き込むことが、実用的なマップにする分かれ目になります。

カスタマージャーニーマップの作り方は?6ステップで解説

カスタマージャーニーマップは、ペルソナ設定から始め、データ収集・軸の設計・書き込み・課題抽出・改善という6ステップで作成します。以下、順を追って解説します。

ステップ1:ペルソナを設定する

カスタマージャーニーマップ作成の第一歩はペルソナの設定です。ペルソナとは、商品やサービスのターゲットとなる架空のモデルユーザー像のことで、年齢・職業・家族構成・価値観・抱える課題などを具体的に設定します。

ペルソナがブレると、その後のすべての工程の精度が下がります。「35歳・共働き・時短で健康的な朝食を求めている女性」のように、一人の人物が目の前にいるかのように解像度を高めることが重要です。

ステップ2:定量データと定性データを収集する

カスタマージャーニーマップ作成には、定量データと定性データの両方の収集が必要です。定量データは数値として測定・集計できるデータ(アクセス解析データ、アンケート集計、購買履歴など)、定性データは数値化できないデータ(インタビューの回答、行動観察の記録、口コミなど)を指します。

定量データで「どこで離脱が多いか」という事実を押さえ、定性データで「なぜ離脱するのか」という理由を掘り下げます。この2つを組み合わせることで、憶測ではないファクトに基づくマップになります。

ステップ3:ゴールと横軸(購買プロセス)を設定する

マップで達成したいゴール(例:資料請求数の増加、解約率の低下)を先に決めます。そのうえで、認知から継続までの購買プロセスを横軸に並べます。自社のビジネスモデルに合わせてステージを増減させて構いません。

ステップ4:縦軸に沿って各ステージを埋める

各ステージについて、タッチポイント・行動・思考・感情を書き込んでいきます。ここで収集したデータを根拠に埋めることが鉄則です。感情は折れ線で表現し、山と谷を可視化しましょう。

ステップ5:課題(離脱ポイント)を洗い出す

感情が落ち込むポイント、タッチポイントが欠けているステージ、行動と思考にギャップがあるステージを探します。ここが施策で改善すべき「機会損失の発生源」です。

ステップ6:施策に落とし込み、改善サイクルを回す

洗い出した課題ごとに、具体的な施策を設計します。たとえば「比較検討段階で不安が高い」なら、導入事例コンテンツやFAQを整備する、といった具合です。マップは作って終わりではなく、実データと照らし合わせて継続的にアップデートすることで真価を発揮します。

BtoBとBtoCで違う?カスタマージャーニーの事例と特徴

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カスタマージャーニーマップはBtoC・BtoBの両方で有効ですが、購買プロセスの複雑さが大きく異なります。BtoBは意思決定に関わる人数が多く、検討期間も長いため、より緻密な設計が求められます。

以下の表で、BtoCとBtoBのカスタマージャーニーの主な違いを比較します。

比較項目 BtoC BtoB
意思決定者 本人(1人) 複数人・組織
検討期間 短い(即日〜数日) 長い(数週間〜数ヶ月)
購買動機 感情・欲求が中心 費用対効果・合理性が中心
タッチポイント SNS・広告・店舗など 商談・展示会・ホワイトペーパーなど
重視すべき点 感情の起伏 関係者ごとの役割と説得材料

BtoCでは、感情の動きが購買を大きく左右します。「衝動的に欲しくなった」「口コミを見て安心した」といった感情の山谷を丁寧に追うことが成果につながります。前述のカルビーの事例は、生活シーンにおける顧客感情を捉えたBtoCの好例です。

一方、BtoBでは「担当者が情報収集し、上長が予算判断し、決裁者が最終承認する」といったように複数の関係者が意思決定に関わります。そのため、関係者ごとに別々のジャーニーを描いたり、各段階で誰にどんな説得材料を届けるかを設計したりする必要があります。BtoB向けマーケティングオートメーションツールのBowNowなどが専用テンプレートを提供しているのも、この複雑さに対応するためです。

「カスタマージャーニーマップはBtoCだけのもの」という誤解がありますが、意思決定プロセスが複雑なBtoBこそ、認識のズレを防ぐマップの効果は大きいといえます。

生成AIでカスタマージャーニーマップ作成を効率化する方法は?

生成AIを活用すれば、ペルソナの仮説作成、インタビュー内容の傾向抽出、マップのたたき台生成といった作業を大幅に効率化できます。ただし、AIの出力はあくまで仮説であり、実データによる検証が前提になります。

マーケティング領域におけるAI活用は、いまや大企業の実装フェーズに入っています。総務省「令和8年版情報通信白書」でも、電通が1億人規模の仮想ペルソナを再現するAIモデル「People Model」を開発したこと、サイバーエージェントがAIによる完全自動の広告生成を2026年中に実現することを目指していることが取り上げられています(出典:総務省「令和8年版情報通信白書」)。ペルソナ生成や広告制作の自動化・高度化は、もはや特別な取り組みではなくなりつつあります。

実務で生成AIを取り入れるなら、次の3つの使い方が現実的です。

  • ペルソナ仮説の生成:ターゲット層の属性を入力し、価値観や課題の仮説をAIに複数案出させて、たたき台にする。
  • インタビュー・口コミの傾向抽出:大量の定性データをAIに読み込ませ、頻出するインサイトや感情の傾向を要約させる。AI搭載のオンラインホワイトボードツールMiroは、インタビューの傾向を抽出する機能を備えています。
  • マップのドラフト作成:収集したデータを整理させ、各ステージの行動・思考・感情の初稿を生成させる。

ただし注意点があります。AIが生成したペルソナやジャーニーは統計的・一般的な傾向に基づく仮説であり、あなたの顧客そのものではありません。生成AIとChatGPTの登場で顧客の情報収集行動自体も変化している今、AIの出力を鵜呑みにせず、必ず自社の定量・定性データで裏付ける工程を挟むことが、精度の高いマップをつくる鍵になります。

SEO・コンテンツマーケで検索意図とカスタマージャーニーを連動させる活用法は?

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カスタマージャーニーマップは、SEOやコンテンツマーケティングと組み合わせると特に強力です。各ステージの顧客が「何を検索するか(検索意図)」を対応づけることで、届けるべきコンテンツが明確になります。

顧客は購買プロセスの段階ごとに、まったく異なるキーワードで検索します。この検索意図をジャーニーの横軸に重ねるのがポイントです。

以下の表は、購買ステージと検索意図・コンテンツを対応づけた例です。

ステージ 検索意図の例 有効なコンテンツ
認知 「〇〇 とは」「悩み 原因」 解説記事・入門ガイド
情報収集 「〇〇 方法」「〇〇 やり方」 ノウハウ記事・チェックリスト
比較検討 「〇〇 比較」「〇〇 おすすめ」 比較記事・料金表・導入事例
購入・契約 「〇〇 料金」「サービス名 評判」 料金ページ・口コミ・無料相談
利用・継続 「〇〇 使い方」「〇〇 解約」 活用ガイド・FAQ・サポート

この対応表があると、コンテンツの「抜け」が一目で分かります。たとえば「認知」「情報収集」向けの記事は充実しているのに、「比較検討」段階のコンテンツが不足していれば、せっかく集めた見込み客を競合に取られている可能性が高い、と判断できるわけです。

SEO対策で成果を出すには、単に検索ボリュームの大きいキーワードを狙うだけでは不十分です。「この記事は、ジャーニーのどの段階にいる顧客に、どんな感情のときに読まれるのか」を意識してコンテンツを設計すると、読者の悩みに寄り添った記事になり、検索エンジンからの評価も高まりやすくなります。ペコプラのようにコストを抑えつつ成果を求める場合こそ、限られた記事本数を最も効果の高いステージに集中投下するために、この連動が役立ちます。

作成に役立つテンプレート・ツールは?おすすめ6選

カスタマージャーニーマップは専用ツールを使うと、テンプレートを土台に効率よく作成・共有できます。無料で使えるものからAI連携・CRM連携まで、目的に応じて選びましょう。

以下の表で、代表的な6つのツールの特徴を比較します。

ツール 種類 特徴 向いている人
Miro オンラインホワイトボード AI搭載・テンプレ豊富・傾向抽出 チームで共同編集したい人
Canva デザインツール テンプレ提供・無料で使える 手軽に見栄え良く作りたい人
HubSpot CRMプラットフォーム 作成ツール・CRM連携 顧客データと連携したい人
Lucidchart 作図ツール 作図特化・使いやすい 図として整理したい人
BowNow BtoB向けMAツール BtoB特化・テンプレ提供 BtoBマーケ担当者
SiTest サイト解析ツール ヒートマップ・ABテスト Web行動を分析したい人

Miroは、AIを活用した効率化とテンプレートの豊富さが魅力です。インタビューの傾向をAIで抽出できるため、定性データの分析まで一気に進めたいチームに向いています。

Canvaは無料で使える手軽さが強みで、まず一枚作ってみたい個人事業主や小規模チームに最適です。デザイン性が高く、社内共有用の資料としても見やすく仕上がります。

HubSpotはCRMプラットフォームとしての顧客データと連携できるため、実際の顧客行動データを土台にマップを作りたい場合に強みを発揮します。

Lucidchartは作図に特化しており、フローとして整理したいときに使いやすいツールです。BowNowはBtoBマーケティングに特化しており、複雑な意思決定プロセスを描く際のテンプレートが役立ちます。

SiTestはヒートマップ・ABテスト・EFO(入力フォーム最適化)などをオールインワンで備えたウェブサイト解析改善ツールで、マップ作成そのものよりも「顧客のWeb上の実際の行動」を定量データとして把握する段階で活躍します。マップの仮説を実データで検証する用途に適しています。

失敗しないための注意点は?よくある3つの落とし穴

カスタマージャーニーマップの失敗で最も多いのは、企業側の希望や憶測だけで作ってしまうことです。ここでは陥りがちな3つの落とし穴と回避法を解説します。

落とし穴1:企業の理想や思い込みで作ってしまう

カスタマージャーニーマップの代表的な失敗例が、企業側の希望や憶測だけで作ってしまうことです。「顧客はきっとこう考えるはず」という思い込みで埋めたマップは、実際の顧客行動とかけ離れた「絵に描いた餅」になります。

回避するには、必ず定量データ(アクセス解析・アンケート)と定性データ(インタビュー・口コミ)というファクトを根拠にすることです。特にインタビューは、企業が想定していなかったインサイトを発見できる貴重な機会になります。

落とし穴2:一度作って放置してしまう

顧客の行動や市場環境は絶えず変化します。スマートフォンの普及や生成AIの登場が示すように、情報収集行動そのものが数年で大きく変わる時代です。一度作ったマップをそのまま使い続けると、現実とのズレがどんどん広がります。

定期的に実データと照らし合わせ、アップデートを続けることが前提です。マップは「完成させるもの」ではなく「育てるもの」と捉えましょう。

落とし穴3:一部門だけで作ってしまう

マーケティング部門だけで作ると、購入後の利用・サポート段階の実態が反映されません。顧客体験全体をマネジメントするには、営業やカスタマーサポートなど複数部門が連携し、横断的なチームで作成・共有することが重要です。前述のとおり、部署横断の共通認識づくりはマップ作成の主要目的の1つでもあります。

カスタマージャーニーマップに関するよくある質問(FAQ)

カスタマージャーニーマップは企業の理想の顧客行動を描くものですか?

いいえ、違います。企業側の希望や憶測で作ると実態と乖離し、無意味なマップになります。実際の顧客データやインタビューといったファクトに基づいて、現実の顧客行動・思考・感情を描くことが不可欠です。

一度作成したら完成であり、そのまま使い続けられますか?

使い続けられません。顧客の行動や市場環境は常に変化するため、定期的に見直す必要があります。実際のアクセス解析データやアンケート結果と比較し、ズレが生じたらアップデートすることで、マップは常に有効な状態を保てます。

カスタマージャーニーマップはBtoC企業にのみ必要ですか?

いいえ、BtoB企業でも重要です。むしろBtoBは関係者が多く意思決定プロセスが複雑なため、認識のズレを防ぐマップの効果は大きくなります。担当者・上長・決裁者など、関係者ごとのジャーニーを描くと効果的です。

ペルソナ設定は適当でもマップは作れますか?

作れますが、精度が大きく下がります。ペルソナがブレるとマップ全体の解像度が低くなり、施策の的が外れます。定量データと定性データに基づいた正確なペルソナ設定が、質の高いマップの前提条件です。

マーケティング部門だけで作成すればよいですか?

推奨されません。顧客体験全体をマネジメントするには、営業やカスタマーサポートなど複数部門が連携する必要があります。横断的なチームで作成・共有することで、購入前から購入後までを一貫して捉えたマップになります。

生成AIで作ったカスタマージャーニーマップはそのまま使えますか?

そのままの利用は避けるべきです。生成AIの出力は一般的な傾向に基づく仮説であり、自社の顧客そのものではありません。AIでたたき台を作り、必ず自社の実データやインタビューで検証・修正してから活用しましょう。

まとめ:顧客理解を可視化し、費用対効果の高い施策へ

カスタマージャーニーマップは、顧客が認知から購入・継続に至るまでの行動・思考・感情を時系列で可視化し、組織全体で顧客理解を共有するためのツールです。スマートフォン世帯保有率88.6%、国内EC市場の二桁成長という公的データが示すように、顧客行動がデジタル化・複雑化した今こそ、その重要性は高まっています。

作成の要点を改めて整理します。

  • 第一歩はペルソナ設定。定量・定性データを根拠に、憶測を排する。
  • 横軸に購買プロセス、縦軸に行動・思考・感情・タッチポイントを配置し、感情の山谷から離脱ポイントを見つける。
  • BtoBでは関係者の複雑さを、BtoCでは感情の動きを重視する。
  • 生成AIやMiro・HubSpotなどのツールでたたき台を作り、実データで検証する。
  • SEO・コンテンツマーケでは検索意図とジャーニーを連動させ、限られた予算を効果の高い段階に集中投下する。

特にコストを抑えつつ成果を出したい企業にとって、カスタマージャーニーマップは「どこに投資すれば最も効くか」を明確にする羅針盤になります。まずは無料ツールで自社の顧客の旅を一枚描いてみることから始めてみてください。そのうえで、検索意図と連動したコンテンツ設計やSEO施策に落とし込みたい場合は、専門家の視点を取り入れることで、より費用対効果の高い集客が実現できるはずです。

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